2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K16746
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲垣 和也 京都大学, アジア研究教育ユニット, 特定助教 (50559648)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドホイ語 / 学際的連携 / 言語文化記述 / データベース構築 / フレームワーク開発 / 言語記録 / 言語学 / 人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、主に人類学者との学際的連携を通してドホイ語の言語文化記述の基盤作成をおこなうことを目的としている。2015年度は、以下のように関係者との連携強化をはかり、次年度以降の礎を築いた:(1)2015年8月、ウダヤナ大学での言語記録ワークショップに主催者側として参加し、Antonia Soriente、Regina Yanti、John Bowden、Anthony Jukes、Asako Shioharaら言語学者と本研究課題に係る意見交換をおこなった;(2)2015年11月、京都大学東南アジア研究所の招聘外国人学者として来日していた、研究代表者と既知の Kenneth Silander(ヘルシンキ大学)と本研究課題に係る意見交換をおこなった;(3)Kusmawan(研究協力者、ドホイ語母語話者)とEメールおよびSNSを通して、本研究課題の体制について確認した;(3)2016年2月、Pascal Couderc(研究協力者) とケベック(カナダ)にて、本研究課題に係る集中的ミーティングをもち、積年のデータのデジタル化およびデータベース化をおこない、今後焦点を当てて収集すべきデータ等について調整した。 研究成果発表としては、論文(A)を3本執筆し、3件の教育/研究発表(B)をおこなった:(A)2015年12月出版のProceedingsにドホイ語の情報構造に関する論考(本文英語)を発表し、2016年度出版予定の学術雑誌2誌にドホイ語の節連結(本文英語)に関する論考とインドネシア語の所有に関する論考(本文日本語)を提出した;(B)「インドネシア語における所有」(2015年9月27日)、「インドネシア語の所有構文」(2015年11月15日)、「インドネシアの無文字世界」(2015年12月1日)の3件の教育/研究発表をおこなった。なお、インドネシア語に関する各トピックについては、本研究課題におけるドホイ語の言語記述に応用可能なフレームワークを開発する目的も兼ねて研究発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階において予定していた、2015年度夏季の現地調査の目途がたたず、カリマンタン(インドネシア)を訪れることができなかった。しかしながら、京都/東京(日本)、バリ(インドネシア)、ケベック(カナダ)において、研究発表および研究協力者との学際的連携強化をおこなうとともに、重要なデータを大がかりに整理することができた。また、これらの成果によって、次年度以降の礎を築くと同時に、解決すべき幾つかの課題を設定することができた。本研究課題は、海外在住の研究協力者との連携が研究を推進するにあたって重要であり、その初年度として、研究協力者等との面会等を通して連携の基礎を築いた点は評価に値する。また、研究協力者と、本研究課題に係るデータの整理に着手し、一部をデータベース化した点も評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、Pascal Couderc(研究協力者)と、(1)本研究課題における研究・調査計画についての議論、(2)データ整理およびデータベース化作業の継続、(3)ライデン大学(オランダ)附属図書館でカタログ化されている Karl D. Epple が遺した20世紀初頭のドホイ語資料の収集・確認等をおこなう予定である。加えて、カリマンタン(インドネシア)を訪れ、ドホイ語の言語文化記述に必要な現地調査をおこなうことはもちろん、カリマンタン在住の Kusmawan(研究協力者)と連携体制を強化するとともに、今後の本研究課題の成果発表および現地共同体への成果の還元方法について議論する。 また、2016年度以降に随時発表していく研究成果について、研究協力者たちとの調整の機会をもうけ、その計画作成と準備を進めていく予定である。
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