2017 Fiscal Year Research-status Report
感動詞・応答詞を含む発話の音調パターンと機能について
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15K16750
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
須藤 潤 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 助教 (00454968)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感動詞 / 基本周波数 / 発話 / 機能 / 後続 / 会話 / 録音 / 文字化 |
Outline of Annual Research Achievements |
会話に現れる感動詞とそれに後続する発話の音調パターンと意味・機能との関係を明らかにするべく、昨年度まで採集した会話データを用い、感動詞が含まれる発話の音調パターンを明らかにすることにした。 今年度は2組分、合計100分程度の電話会話(雑談および課題会話)から、「(あ系・うん系・え系)感動詞+1文節」(例:「ああ、そうだね」)で構成される発話、および、うん系感動詞が2回以上反復される発話(例:「うん、うん、うん」)を抜き出し、冒頭の感動詞区間のF0(基本周波数)中央値を基準に、後続(後続区間のF0最大値)が高いか低いかという傾向を分析した。 その結果、「感動詞+1文節」で構成される発話では、後続の1文節がおおむね、冒頭の感動詞区間の基準の高さよりも高いものが3分の2以上を占めたが、感動詞の種類(あ系・うん系・え系)によって、分布にやや異なる傾向が見られた。具体的には、あ系感動詞の場合は、うん系感動詞の場合と比べて後続がやや低めになりやすいこと、そして、え系感動詞については、基準より高いものから低いものまで広範囲に存在していることが観察された。一方で、うん系感動詞の反復については、冒頭の感動詞の基準の高さ以下のものが多数、しかも、後続の高さは基準のプラス・マイナス1半音以内に集中しており、「感動詞+1文節」の場合とは異なる傾向が見られた。 感動詞自体の下降の大きさや感動詞と後続の間にある無音区間等も少なからず影響はあると考えられるが、それぞれの感動詞が果たす意味・機能の下で、異なる音調パターンの傾向が見られたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
会話のデータの分析(特に初対面のペア)が進んでおらず、最終段階である聴取実験により、音調パターンと特定の意味・機能との結びつきを検討する段階へ進めないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、会話データ(特に初対面ペア)の音響分析を行うことにより、音調パターンを検討する感動詞を増やす。「はい」「ええ」など、親しい関係では得られにくい感動詞が含まれる発話を中心に検討する。その上で、音調パターンを特定し、談話分析によって意味・機能・印象等について検討した上で、聴取実験を設定する。 聴取実験では、特定の意味・機能・印象において、どの音調パターンの発話がより適切か回答を求め、感動詞を含む発話の音調パターンと意味・機能・印象との関係をよりクリアにする予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れによる未執行があるため。主に、聴取実験のための謝礼や、成果発表にかかわる国際会議出席のための費用である。次年度はいずれも執行予定である。
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Research Products
(2 results)