2016 Fiscal Year Research-status Report
統語・意味情報付き形容詞を実装した通時コーパスによる中古形容詞の意味・用法研究
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15K16764
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
池上 尚 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (50739125)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中古語 / 形容詞 / コーパス / 国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般公開されている『日本語歴史コーパス 平安時代編』(国立国語研究所コーパス開発センター(冨士池優美・須永哲矢・池上尚ほか)) に出現する形容詞(異なり語数640語・延べ語数38760語)を抽出し、次のような統語・意味情報のアノテーションを進めた。 Ⅰ.宮島達夫他編(2014)『日本古典対照分類語彙表』(笠間書院)の分類語彙表番号のうち、見出し語レベルで「3.50(自然)」を有し、かつ、番号の曖昧性(複数の語彙表番号を持ち合わせる)が問題になる形容詞22語(延べ語数1447語)に対し、①コーパスの底本である新編日本古典文学全集(小学館)での現代語訳、②当該形容詞の表す属性が帰属する原文での主体、③文脈レベルでの分類語彙表番号、以上3つの情報を付与した。 Ⅱ.一般公開されている『日本語歴史コーパス 鎌倉時代編Ⅰ説話・随筆』(国立国語研究所コーパス開発センター(池上尚ほか))をデータに加えた上で、定型表現「~事限り無し」の上接語「~」を原文から抽出し、さらに「~事限り無し」全体の現代語訳の情報を付与した。また、これらのデータを活用し、中学校国語科における「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の教材開発・授業実践を行った。 Ⅲ.「3.1911(長短・高低・深浅・厚薄・遠近)」「31400(力)」「31910(多少)」「31912(広狭・大小)」「31913(速度)」「33012(恐れ・怒り・悔しさ)」の分類語彙表番号をもつ形容詞のうち、複合形容詞としての用法(名詞との熟合度の強弱)が問題になる一部の語に対し、主体の同定、および、主体・形容詞の構文環境調査(主体―形容詞の主述関係における助詞・副詞等の有無)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の異動年度で、当初の予定よりも遅れて作業を再開したため、作業内容に若干の遅れが生じている。ただし、再開後の進度としては順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に沿ってアノテーション作業を進めながら、データを活用した研究発表を行っていく。 なお、昨年度から継続している国立国語研究所での共同研究プロジェクト「通時コーパスの構築と日本語史研究の新展開」に加え、「古文教育に資する,コーパスを用いた教材の開発と学習指導法の研究」にも参加することとなった。データの活用においては、国語教育の研究者との連携も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
作業従事者の都合により、予定していた作業量を減ずることとなった。そのため、人件費・謝金に関わる支出において次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続する作業従事者には作業量の増加を依頼し、また、新たに人員を配置することを予定している。これにより次年度使用額の適切な使用に努める。
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Research Products
(2 results)