2016 Fiscal Year Research-status Report
コーパス内話者情報を利用した近世後期江戸語・上方語の研究
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15K16765
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
市村 太郎 常葉大学, 教育学部, 講師 (10701352)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コーパス / 江戸時代語 / 近世語 / 洒落本 / 話者 / 程度副詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き、国立国語研究所において構築が進められている、近世後期江戸・上方を舞台とする洒落本のコーパスデータを対象として、話者情報データの構築を進めた。人員確保等に若干の困難が生じ、十分な確認作業を行うまでは至らなかったものの、データの構築自体は、おおむね順調な進捗を見、昨年度と合わせて40作品以上について、話者情報を付与することができた。 また、上述のデータ構築を行う一方で、前年度に公開した、国立国語研究所コーパス開発センター(市村太郎ほか)ひまわり版「洒落本コーパスVer. 0.5」(2015年10月)やその関連データを用い、洒落本コーパスの構築過程や課題、利用例等を示した研究論文の執筆・学会発表を行った。あわせて、本研究の成果に関わる、洒落本のコーパスデータや関連データを利用し、近世後期の洒落本における程度副詞について調査を行い、研究論文・博士学位論文の執筆や、シンポジウム発表等によって本研究の成果を公開した。 前年度公開した試行版コーパスに続き、その構築過程や活用例を示した論文を公刊し、近世口語資料を対象としたコーパスを構築する際の手順、課題となった点、本研究の成果や活用例等について公開・蓄積することで、今後近世口語資料をコーパス化するに際しての一助となると考えられる。 また、洒落本に出現する程度副詞について、江戸と上方とを分けた比較的大規模な調査を行い、他の時代・他の資料と比較する上での下地となるデータを取得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作業者確保が難しく、確認作業を十分に行うことは難しかったものの、想定した程度のデータを構築することができた。また、データ構築やデータを利用した研究成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まずは構築予定である残り約20作品分のデータについて、話者情報の付与を進めるとともに、書籍や研究誌等によって、本研究の成果を公表したい。
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Causes of Carryover |
研究代表者異動に伴い、新規作業従事者の確保に難航するとともに、これまで従事していた作業者の都合により、従事時間の確保および従事の継続が難しくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
可能な限り作業者確保等に努め、一層のデータの充実に努めたい。
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