2015 Fiscal Year Research-status Report
極小主義理論に基づいた削除操作の局所性についての研究
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15K16771
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中村 太一 福井大学, 教育地域科学部, 講師 (00613275)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 省略現象 / 局所性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、削除操作がフェーズ毎に局所的に適用・認可されるとする、現行の理論であるフェーズ理論から導かれる仮説の下で、削除操作に課せられるとされてきた非局所的な「同一性」条件を局所的条件へと還元・解体し、削除操作の局所性を追求することにある。この目的を達成するために、平成27年度は、先行研究における削除操作とそれに課せられる「同一性」条件の精査を通して、非局所的な「同一性」条件を洗い出し、「平行性」条件、Max Elide 条件、「同一性」条件の3種類に大別した。これにより、平成28年度実施予定の研究を行う際の有益な結果や示唆も得られた。平成28年度は、洗い出された非局所的「同一性」条件を、削除操作を免れる残余要素が持つ特徴の観点から捉え直し、新たな記述的一般化を立てることを目標とするが、「平行性」条件については、残余要素が誘発する推論により間接的に得られる派生を用いて、フェーズを単位として局所的に「平行性」条件を述べる可能性があることがわかった。また、「同一性」条件については、削除操作を免れる残余要素がある一定の条件を満たす場合には、そもそも「同一性」条件を満たす必要がない可能性があることが分かった。また、この場合を除けば、「同一性」条件は局所的に満たされている可能性も示唆された。これら結果は、非局所的だと考えられてきた「同一性」条件が、局所的条件へと還元・解体可能であることを示唆するものであり、意義のあるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にほぼ沿って研究が進行しており、研究目的達成に向けて順調に進展していると言える。しかし、成果のまとめとその公表が一部未完の状態となっており、「(2)おおむね順調に進展している」との自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に計画されている、洗い出された非局所的「同一性」条件を、削除操作を免れる残余要素が持つ特徴の観点から捉え直し、新たな記述的一般化を立てることについては、すでに平成27年度の予備調査で一定の方向性が得られている。このため、当初の計画通り研究を進めることとする。なお、新たな記述的一般化が正しいことを明らかとするために、詳細かつ、場合によっては広範に言語現象を調査する必要が生じる可能性を考慮に入れ研究を進める。また、未完となっている研究成果があるため、公表に向けて準備を同時平行で進める。
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Causes of Carryover |
購入予定の大型本の第二版の出版準備が進められていることを知り、購入を見合わせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、次年度使用額分については、年度内に第二版、または当初購入予定であった第一版の購入に充てる。また、平成28年度分として請求した助成金については、当初の計画通り使用する計画である。
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