2016 Fiscal Year Research-status Report
暗黙的ニュアンスを学習するためのオノマトペE-learningシステム
Project/Area Number |
15K16782
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 暁燕 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (70726322)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オノマトペ / 感性記述 / 暗黙的ニュアンス / E-learningシステム / 習得メカニズム / 暗黙知の習得 / 語形成ルール / 検証実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本語オノマトペのニュアンス,特に暗黙的ニュアンスを学習するE-learningシステムの構築とその習得メカニズムの分析を目的としている。2015年度に提案した感性記述フィードバック方法を利用して、ABAB型(例:ばらばら),ABっ型(例:さらっ)オノマトペの暗黙的ニュアンスを学習するE-learningシステムを構築した。2016年度に、1)検証実験の予備実験を行った。2)オノマトペの習得および本学習システムの使いやすさなどについて、検証実験の被験者を対象にアンケート調査およびインタビュー調査を行った。形態・発音とも似ているオノマトペがもっとも習得しがたいと言う意見が多かった。3)被験者からのフィードバックに応えて、量的にかなりの比重を占めるパ行のオノマトペを中心に、もっとも典型的な「ABAB」型をピックアップして学習システムを拡張した。特にオノマトペの中で最も難しいと思われる状態・感情を表すオノマトペを学習してもらうように二つの学習タスクの文脈を設定した。 感性記述のデータベースを作成する際は,意図的にメタファーやアナロジーなどを利用し言葉に変換して学習者に伝わるように書くよう指示した。そこには、母語話者自身の主観的な判断に任せつつ,無意識に駆使している暗黙的ニュアンスについて内省を促す意図がある。その後,収集したオノマトペの感性記述に対して複数の母語話者に賛成かどうか投票してもらった。以上のデータベースを,「①語形成ルールの学習,②語形成ルールを使った創作,③感性記述のデータベースからのフィードバック」の流れでオノマトペの学習を行なうE-learningシステムに実装した。今後は本格的な検証実験を実施し,学習効果を検証し、暗黙的ニュアンスを習得するメカニズムを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「暗黙的ニュアンスを学習するE-learningシステム」は試行錯誤を経て構築された。また、本研究では、暗黙的ニュアンスを習得するメカニズムの仮説が見出された。さらに、明示的知識として学習できる母語話者の感性記述およびオノマトペを創る体験を通じて身につける暗黙的ニュアンスという、システムの検証・公開のためのデータとして両方すでに準備できた。これより、暗黙知の習得の解明が一歩進んだ。学習効果と暗黙的ニュアンスの習得メカニズムを検証するための検証実験は2017年度で実施の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で構築したオノマトペ暗黙的ニュアンスを学習するE-learningシステムを用いて、オノマトペの学習効果を分析する。そして、暗黙的ニュアンスの習得メカニズムを考察する。
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Causes of Carryover |
物品費に若干の余裕が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品に使用予定
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Research Products
(7 results)