2017 Fiscal Year Research-status Report
日本語格助詞を処理・習得する学習者の内的プロセス解明を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
15K16784
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
橋本 洋輔 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (30568770)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 認知神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レベルの異なる日本語学習者及び日本語母語話者が助詞に関わる処理を行っている最中、どのような脳反応が見られるのかを個別に調べ、L1L2及び習熟度の違いを含めた様々な個体差に伴う助詞処理の脳反応パターンを解明することを目的としている。本 年度は、前年度に引き続き、最適な実験課題作成に取り組み、ある程度の方針変更を決断した。 個別の助詞処理中の脳反応パターンを解明するためには、(1)行動レベル、(2)認知心理学的レベル、そして神経生理学レベルのそれぞれの知見がある程度集まっていることが前提となる。昨年度の研究で、ある種の認知能力の強弱が、学習スタイルや速度に影響するのではないかという疑問を抱き、そして今年度はその方向性で準備を進めてきた。その中で、特定の神経心理学的検査の結果が、助詞の習得と興味深い関連を示す可能性に気がついた。検査を行えたのが8名と少なく、まだ統計的検定に十分な数ではないため一般化ができないが、この可能性が検証できれば、日本語学習者の助詞習得および、日本人の助詞習得にも新たな道筋が見出せるかもしれない。 このような方針転換の結果、脳反応データから助詞習得や処理に活かせる知見を取り出すことは期間的にも研究内容的にも諦めざるを得なくなったが、その代わりに、日本語学習者の助詞習得、ひいては日本語習得に役立つであろう認知神経科学的知見が得られる可能性が高まった。また、日本語学習者のみならず、発達性ディスレクシアや特異的言語障害のある日本人の助詞習得にも重要な示唆が得られる見通しが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
諸事情での遅れに加え、研究方針の変更を決断したため
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Strategy for Future Research Activity |
神経心理学的検査と助詞の習得に関する調査を平行して行う。勤務校だけではなく、留学生の多くいる日本語学校や他大学にも協力を要請し、2018年8月までに30名以上の協力者を集める。集まったデータを解析し、18年度中に発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
事業を1年間延長したため次年度使用額を残した。残額は検査・実験のための謝礼や旅費として主に使う。
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