2017 Fiscal Year Research-status Report
第二言語の視覚的単語認知における語彙競合過程の解明と語彙習得研究への応用
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15K16797
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鬼田 崇作 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (00611807)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 視覚的単語認知 / 語彙競合 / 語彙習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の実験では,課題としてマスク下のプライミング法(masked form prime)を用いた語彙性判断課題(lexical decision task,LDT)を採用し,プライムとターゲットの間の時間であるstimulus onset asynchrony(SOA)を操作した。実験の結果,SOAが100 msの条件において,語彙競合に近い反応が得られた。また,28年度に行ったもう1つの実験では,上記実験のSOA 100ms条件と同様の課題と手続きを用いて,実験材料の文字数を操作した。実験では,プライムとターゲットの文字数が3文字の条件と8文字の条件を設け,両者のプライミングパターンを比較した。実験の結果,3文字条件では実験条件と統制条件で反応時間に違いは見られなかったが,8文字条件では実験条件において,わずかに語彙競合の反応が得られた。 このように,平成28年度の研究では,第二言語(L2)視覚的単語認知における語彙競合現象について実験を行い,いくつかの条件下で語彙競合に近い反応が得られた。他方,それらの結果はL1での先行研究に比べ,明確な語彙競合反応とは言えないものであった。その理由として,L2ではL1に比べて処理が遅いため,マスク下のプライミング法では,プライムが十分に処理されないことが考えられた。また,未知語を学習した結果として,その語が心的辞書内に格納され,既に心的辞書内にある語との間で語彙競合が起こるのかは依然として不明である。 そこで平成29年度においては,(1) プライムが知覚できる条件において,語彙競合が起こるか否か,(2) 未知語を学習した後,28年度の実験と同様にマスク下のプライミング法を用いて,学習した未知語をプライム,その近傍語をターゲットとする語彙性判断課題の実験を行った。 その結果は現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画は,平成29年度の主な計画として,本実験のデータ収集を挙げていた。前年度の実験の結果を基に,本実験のデータ収集を行った。このことから,当初の計画通り,本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては,必要に応じてデータの追加収集を行う。また,データの分析及び研究成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
理由:データの分析に必要となる費用の一部が不要になったため。 使用計画:データを追加収集する予定である。
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