2015 Fiscal Year Research-status Report
脳機能と視線の動きからみる日本人大学生英語学習者の英語文学作品読解プロセスの特徴
Project/Area Number |
15K16801
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
西原 貴之 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (50469590)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 英語文学読解プロセス / 脳機能 / NIRS / アイトラッキング / 質的調査法 / 英語教育 / 読解指導 / 英語詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、資料の収集と精読を行った。平成26年から、本研究課題同様に、文学作品読解時の脳内処理を調査した研究が欧米で発表され始めた。そこで、その資料を収集し、精読を行った。ただし、それらはあくまでも母語話者の文学作品読解を対象とした研究であり、外国語で書かれた文学作品読解の調査を目指す本研究の独自性を改めて確認することができた。 第2に、研究方法の検討を行った。自身が代表者を務めて2014年度に終了した挑戦的萌芽研究「脳機能からみる日本人英語学習者の英語文学読解プロセスの特徴の研究」(研究課題番号:24652126)を参考に、調査方法について検討した。上述した近年の欧米の研究における調査方法なども参考にしながら、よりよい調査方法の確立について検討中である。 第3に、調査機器をレンタルする業者及び調査機器について情報を収集した。脳科学的研究を行うための調査機器は次々と改良され、よりよい装置が作られているため、本研究課題を実施するにあたり、どの業者のどの装置がよいのか現在も引き続き検討中である。 第4に、2014年度に終了した挑戦的萌芽研究で得られたデータを再分析した。今回は、数値をすべて標準化(z変換)した上で、再度分析を行い、日本語詩読解、日本語説明文読解、英語詩読解、英語説明文読解で、脳の賦活状況に違いがある部位の検出を行った。その結果、前回の研究同様にウェルニッケ野に賦活状況に変化が現われることを再確認した。さらに、ウェルニッケ野に隣接する地点の賦活状況の変化も新たに確認された。これらの結果をもとに、今回の調査において、大脳皮質のどの地点を重点的に調査するか、現在検討中である。 第5に、今回の研究で中心的に調査する予定の言語野(ウェルニッケ野とブローカ野)について、具体的には脳内でどのような働きを行っているのか、近年の脳科学の文献から情報を整理した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階では、平成27年度は、大きく分けて (a) 資料の収集と整理、(b) 研究方法の検討、(c) 調査機器に関する情報収集、(d) 学内倫理委員会の手続き、を予定していた。上述の通り、(a) 資料の収集と整理については、十分に達成することができた。さらに、自身が代表者を務めて2014年度に終了した挑戦的萌芽研究「脳機能からみる日本人英語学習者の英語文学読解プロセスの特徴の研究」(研究課題番号:24652126)で、読解処理の違いによって賦活に差が見られた部位に関して、脳内でどのような働きをしているのか、最新の研究からその機能を整理した。(b) 研究方法の検討についても、最終的な確定には至らなかったものの、他の研究で用いられている調査方法に関する情報を収集し、本研究課題で用いる調査方法について考えることができた。また、(c) 調査機器に関する情報の収集と整理についても、業者を最終的に選定するところまでは至っていないものの、最新の調査機器に関する情報を収集することができた。(d) 学倫理委員会の手続きについては、本研究課題申請者が平成28年度中に所属が変わることになったため、新たな所属先に着任後、迅速に進めたい。 また、当初予定はしていなかったものの、前回の研究で得られたデータを再分析した。そして、今回の調査で脳のどの部位の賦活を中心的に調査するか検討することができた。 以上の進捗状況を総合的に見て、本研究は(2)おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、引き続き本研究と関連する研究論文を収集し、その内容を整理する作業を行う。インターネットなどを活用しながら、研究分野の最新情報をこまめにチェックする。また、関連書籍が出版されていないかどうかも随時確認し、そのような文献があれば、すばやく入手し、本研究に反映させる。 また、研究方法についても詰めていきたい。関連研究の調査方法を参考にしながら、本研究課題の調査方法の細かい点を確定していく。調査方法の確定と合わせて、業者及び調査機器の選定作業も同時平行で行っていく。関連業者から資料を取り寄せるなどして、慎重に検討を進めたい。本研究課題の申請者が新たな所属先に着任した後、研究方法及び調査機器等が確定した時点で、学内倫理委員会の手続きを開始する。学内倫理委員会からの承諾を得てから、具体的な調査日時等を決定し、調査実施に向けての準備に入りたい。 調査日時等がある程度固まった時点で、データ解析や研究成果の発表の場についてもある程度の見通しを立てておく。
|
Causes of Carryover |
2014年から2015年にかけて、本研究課題と関わる文献が数多く出版されたため、予算の多くを物品費(図書費)に回した。その一方で、旅費については学内で支給される研究費でまかない、文献複写についてもインターネット上で無料で手に入れることができる論文が多かったため、結果として若干の残高が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題と関わる書籍や論文が次々と出版されているため、2,216円と少額であるが、この残高は物品費に算入して使用したい。旅費については、日本英文学会、全国英語教育学会など、関連する学会への旅費として使用する。また、その他の大学の研究者等から研究課題について助言を求めたり、資料収集をする際の旅費にも使用する。人件費と謝金については、本研究課題における調査への参加者、調査アシスタント、およびデータ分析の協力者に支払う。その他については、その大部分を調査機器のレンタル費用に充てる。さらに、関連する文献を複写して他大学から取り寄せる費用にも使用する予定である。
|
Remarks |
(3) については、2016年1月4日から1月31日まで掲載
|
Research Products
(6 results)