2016 Fiscal Year Research-status Report
脳機能と視線の動きからみる日本人大学生英語学習者の英語文学作品読解プロセスの特徴
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15K16801
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西原 貴之 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (50469590)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英語文学読解プロセス / 脳機能 / NIRS / アイトラッキング / 質的調査法 / 英語教育 / 読解指導 / 英語詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳機能計測装置と視線計測装置を用いて、日本人大学生英語学習者の英語文学作品読解プロセスの特徴と問題点を調べ、大学における英語文学教材読解指導モデル構築のための基礎となるデータを得ることを目的としている。 まず、27年度に引き続いて資料の収集と精読を行った。文学作品読解時の脳内処理に関する研究は次々に発表されており、収集した最新の研究を参考にしながら、調査方法のプランを立てた。 第2に、調査材料の収集を行った。本研究では、語彙的にそれほど難しくなく、短時間で読める短い詩が必要である。そこで、詩集や英語詩を集めたウェブサイトなどを活用しながら、条件に見合った詩を探した。今回の調査ではプロの詩人による作品を用いることとした。条件に見合う詩を探す作業はかなり困難を極めたが、調査に使用できる詩を複数見つけることができた。 第3に、調査で使用する機器について確定し、予備調査を行った。実際に調査をレンタルし、プランとして立てた調査方法がうまく機能するかどうか確認を行った。この予備調査により、最終的な調査方法を確定させた。また、自身が代表者を務めて2014年度に終了した挑戦的萌芽研究「脳機能からみる日本人英語学習者の英語文学読解プロセスの特徴の研究」(研究課題番号:24652126)で、英語詩読解の際にはウェルニッケ野近辺の賦活が下がるという結果が得られたが、この予備調査でもこの結果が再確認された。 第4に、本調査の日程及び調査機器を調達するための具体的な準備を行った。新年度になり、すぐに調査の最終準備に取り掛かることができるように、業者等と話し合いを行った。また、学内倫理委員会に提出する書類についても準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、日本人大学生英語学習者が英語文学作品をどのように読んでいるかということを調べるために、脳機能計測装置と視線計測装置を用いた調査を実施することが必要である。当初の予定では、28年度にこの調査を実施する予定であった。しかしながら、研究代表者が28年度9月時点で所属先が変わり、調査準備に十分時間が取れなかったため、調査を実施することができなかった。 28年度においては、29年度(最終年度)にこの調査を実施することができるように、調査方法や調査材料、調査機器の調達、調査日程等について、すべてを確定させた。また、学内の倫理委員会等の手続きについても年度が代わって迅速に行うことができるように、提出書類をあらかじめ作成した。 調査実施にあたっては、あとは調査参加者の募集といった作業のみを行なえばよい状況であり、現在万全の状態である。 以上の進捗状況を総合的に見て、本研究は (3) やや遅れている、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査は8月上旬から2週間程度をかけて実施する予定である。その調査が終り次第、結果を分析し、本研究課題のまとめに入る予定である。分析については、本研究課題終了時までの時間が限られているため、効率的に進めたい。 研究結果については、関連した過去の別課題(自身が代表者を務めて2014年度に終了した挑戦的萌芽研究「脳機能からみる日本人英語学習者の英語文学読解プロセスの特徴の研究」(研究課題番号:24652126))で得られた結果と、本研究の結果を適宜比較しながら、最終的なまとめを行う予定である。さらに、そのまとめを行う中で、日本人大学生英語学習者による英語文学作品読解プロセスの特徴に関して、今後の研究課題も見定めたい。
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Causes of Carryover |
「人件費・謝金」は、調査に参加してもらう調査参加者及び調査アシスタントに支払うための予算である。また、「その他」は、脳機能計測装置と視線計測装置を業者からレンタルするための予算である。当初は、28年度中に調査を行う予定であったが、研究代表者が28年度の9月で勤務先が代わったため、前任校で調査をすることができなかった。また、新たな勤務地でも調査を実施するための準備が間に合わなかったため、調査を実施することができなかった。このような事情から、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初よりも時期が遅れる形にはなったが、調査は予定通り行う予定である。したがって、29年度に「人件費・謝金」と「その他」の次年度使用額を使用して、調査にかかる費用をまかなう予定である。 また、29年度配分の予算を用いて、調査結果の報告を適宜行い、必要に応じてデータのさらなる解析を行う予定である。そして、本研究課題の成果について最終的なまとめを行いたい。
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Research Products
(2 results)
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[Book] Approaches to Literature in Learning Environments2016
Author(s)
M. Burke, O. Fialho, S. Zyngier, P. M. Bal, M. Braaksma, S. C. Chard, A. Cheskova, F. Hakemulder, D. Hanauer, T. Janssen, F. Liao, S. Liu, M. Mahlberg, D. S. Miall, M. Nasu, T. Nishihara, D. Peplow, V. Sotirova, P. Stockwell, M. Teranishi, 他4名
Total Pages
18
Publisher
John Benjamins