2015 Fiscal Year Research-status Report
工業高等専門学校におけるタスクシラバスの開発と指導効果の検証
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15K16812
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 卓郎 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 助教 (70735125)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TBLT / ニーズ分析 / ESP / 技術者英語教育 / 高専 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、工業高等専門学校(以下高専)における、タスクをもとにしたシラバスを構築し、その指導効果の検証を行うことである。今年度は、高専生が学校生活や将来技術者として必要とされる英語使用場面についてニーズ分析を行い、その結果を踏まえてタスクシラバスを検討・構築した。 調査協力者は、高専の学生(専攻科生)、専門科目教員、高専を卒業したエンジニアである。データ収集のために、半構造化インタビューを行い、学校生活や職場で現在経験していたり、過去に経験したりした英語使用場面について尋ねた。インタビューデータは、コミュニケーションの手段、文脈、内容の観点から質的に分析された。 コミュニケーションの手段や文脈の観点から具体的な英語使用場面について分析した結果、ウェブサイトや資料の検索、各種文書の作成・閲覧(マニュアル・仕様書、論文、報告書、企画書、注文書、契約書、特許文書、専門文献)、ソフトウェアの理解、電話・電子メールのやりとり、プレゼンテーション・ポスターセッション・インフォーマルな会話、会議の参加、各種試験の受験・学習が挙げられた。 内容の観点から具体的な英語使用場面について分析した結果、新しい企画についての提案・議論、機器の操作や動作状況についての説明・理解・指示・助言、契約内容の理解、資格試験の学習、仕事の進捗状況についての報告や助言、自身の研究・自社製品・所属組織の説明・紹介、専門文献の検索・文献内容の理解・報告、他社(製品)の説明・紹介・情報検索、注文内容についての指示、日常生活・日本文化についての会話、日々の仕事内容についての相談・交渉・指示・助言などが挙げられた。 これらの中から、対象学生の生活面や英語能力面等を考慮し、「企業について説明する」、「製品について説明する」、「所属組織について説明する」タスクを中心にシラバスを検討・構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画は、(1) ニーズ分析の方法論の概観と調査計画の作成、(2) パイロット・スタディおよび本調査、(3) タスクの開発とシラバスの構築、の3点であった。これらの点について、次に示す3点を本年度の研究成果として挙げる。(1) ニーズ分析の方法論についての理論的枠組みと工学分野において近年行われたニーズ分析の先行研究を整理した上で調査計画を作成した。(2) 作成した調査計画とパイロット・スタディを踏まえて、高専学生、専門科目教員、高専を卒業したエンジニアを対象に本調査を実施した。(3) ニーズ分析の結果を踏まえて、本科高学年を対象としたタスクシラバスを構築した。これらの点を踏まえ、当初に予定した本年度の計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、構築したシラバスを実践し、その指導効果の検証を行う。具体的には、(1)タスクについての学習者の情意面や態度面、(2)学習者が行うタスクのパフォーマンスの観点、(3)タスクの指導前後の学習者の目標言語使用の質の変化、の 3 つの観点から調査を行う。検証に際してはアクション・リサーチの手法を用い、タスクの難易度や指導方法について内省を行いながらリサーチを進める。現在、本科高学年を対象として、上記のリサーチを進めている。
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