2015 Fiscal Year Research-status Report
「測る」/「測られる」ことの政治・外交史的考察―19世紀中葉の日英米をめぐって
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15K16815
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Research Institution | Osaka University of Tourism |
Principal Investigator |
後藤 敦史 大阪観光大学, 国際交流学部, 講師 (60710671)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幕末 / 外交 / 測量 / 海図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、19世紀中葉、幕末維新期の日本列島をめぐるアメリカ、イギリスの測量活動とそれに対する日本側の動向を踏まえて、当該期の東アジア国際秩序の特質を明らかにすることを目的としている。2015年度は、研究実施計画にあわせて、主にアメリカによる1850年代の測量について調査・研究を進めた。予定していたアメリカでの長期の調査は本務の都合等で実施することができなかったが、横浜開港資料館など、国内の資料館に所蔵される海外史料の複写を活用することで、ある程度順調に調査を進めることができた。また、アメリカの測量に対する日本側の対応についても、刊行史料、未刊行史料の双方から、研究を進めた。 これらの研究を進めるなかで、1850年代におけるロシアの大阪湾測量についても検討を加え、当該期の幕府の大阪湾防備の研究につなげられる見通しが立った。研究計画では、イギリスとアメリカの測量活動を主たる検討対象としているが、それ以外の西洋諸国の動向にも目を配りながら研究を進める必要がある。 なお、2016年度の研究計画につなげるため、2015年度末頃から、1860年代におけるイギリスの日本近海測量についても、一次史料、および先行研究の収集を開始し、その読解を進めている。実際に日本近海測量をおこなった測量艦長の報告書などを読むことで、アメリカの日本近海測量との共通点や相違点も見えてきた。また、1860年代の幕末政治・外交史の研究成果を踏まえ、欧米諸国の測量活動に対する幕府側の対応の特質とその変遷についても、研究を進めていきたい。 以上のように、2015年度を通じて収集した一次史料・二次資料の読解を進めながら、イギリス、アメリカ、そして日本の動向を中心に、19世紀中葉の東アジア国際秩序についてさらなる検討を加えていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた海外での史料調査は実施することができなかったが、国内の文書館・資料館に所蔵されている海外史料の写真帳などを活用し、また海外の資料館のデジタルアーカイブなども利用することで、順調に研究を進めることができた。資料の読解についても十分に時間をとって遂行することができた。2016年度も、このペースで研究を進めるとともに、海外での積極的な調査を実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、研究実施計画にしたがって、主にイギリスの日本近海測量について研究を進める予定である。海図作成を担ったイギリス海軍の艦船の報告書などは、国内の資料館・文書館でも写真帳を所蔵している機関があり、それらを利用することで時間を有効に用いて研究を進めていく。一方、海図の原図などは、まだデジタルアーカイブでも公開されておらず、日本にも複写がないため、実際にイギリスに行って、その積極的収集を試みる必要がある。十分に事前調査をおこないつつ、海外と国内の史料調査を進めていきたい。また、あわせて、測量に対する徳川幕府の動向についても研究を進めていく。その際には、未刊行の一次史料を積極的に収集し、幕末外交史研究のなかで新たな知見を提示することを目指していきたい。
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Causes of Carryover |
年度末に複写の見積もりを依頼した一次史料について、年度末までの納品が困難であったため、当初の使用計画に若干の誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一次史料の複写代として使用することを計画している。
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