2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16817
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
武井 紀子 弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (30736905)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古代倉庫制度 / 日唐比較 / 出土文字資料研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、本研究課題「古代倉庫と国家支配構造に関する基礎的研究」の2年目にあたる。本年度は、昨年度の研究計画を引き継ぎ、次の四つの点について、研究を進めた。 ① 倉庫令の倉庫管理規定について。古代倉庫制度の要をなす律令篇目である倉庫令規定の検討のうち、倉庫管理規定群について、特に倉庫の監督官である監臨官の不正処罰と律との関係について、日本令と唐令との比較研究を行った。唐令が律と密接な繋がりの元で運用されていたのに対し、日本ではその繋がりが薄かったことを明らかにした。また、倉庫令の築城比較について、これまでの日唐令条文比較の成果について、取りまとめた。 ② 地方官衙における倉庫立地と財政・流通の関係について。昨年度に引き続いて、地方官衙における倉庫の立地について考察を加えた。特に、地方財政との関連から地方官衙遺跡出土木簡の出挙関連資料について検討した。また、王権と倉庫との関連について、5-6世紀の大型倉庫について、実地調査と関連資料・書籍・論文の蒐集を行った。 ③ 朝鮮半島における宮都と倉庫の立地について。古代朝鮮半島諸国と古代日本との影響について比較検討を行った。特に、百済の宮都であった扶余における倉庫関連遺跡の立地を確認した。また、日韓の木簡を用いて、出挙を中心とする財政システムと倉庫との関連、また朝鮮半島におけるクラと日本のクラについての用字「椋」の問題などについて研究を進めた。 ④ 古代倉庫関連史料の収集を引き続き行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、本年度の計画では、中国調査を実施する予定であったが、次年度に実施予定の朝鮮半島における実地調査に切り替え、海外調査を行った。これは古代日本と朝鮮半島のあり方について、十分に時間をかけて考察する必要があると判断したため、また現地の博物館などで資料の実見が必要になったためである。 また、本年度は研究課題に関連する論文の執筆を十分に行えたため(刊行は次年度以降)、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に引き続き、東アジアにおける倉庫関連資料の比較検討を実施すると共に、庫蔵についての検討、本年度調査をもとにして城柵・山城などにおける倉庫についても、研究の対象を広げる。 また、研究課題の最終年度に当たるため、研究課題全体の取りまとめを実施する。
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Research Products
(1 results)