2017 Fiscal Year Annual Research Report
Japanese Diplomacy and the New Four-Power consortium
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15K16825
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保田 裕次 京都大学, 大学文書館, 特定助教 (70747477)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 近代日本外交 / 東アジア国際関係 / 新四国借款団 / 日中英関係 / 勢力圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる本年度は、主にこれまでの研究成果のまとめと本研究の展望を行った。ただし、本研究を発展させていくため、国内の研究・資料保存機関はもとより、香港のHSBC Group Archives in Hong Kongなど海外での調査も行った。 主な研究実績は以下の二点である。第一に、新四国借款団の結成過程について、日本とイギリスの視点から検討を行った。従来は、日米の外交政策のあり方や対立、そしてそれらの背景にあった中国における「勢力圏」認識の違いなどに注目が集まってきた。ただし、新四国借款団が結成される以前の国際借款団で中心的な位置を占めていたイギリスの存在は軽視することができない。よって、第一次世界大戦前後にイギリスが「勢力圏」認識をどのように変化させたのかを一次史料に基づき検討し、日本側がそうしたイギリス側の変化をどのように受け止めていたのかを考察した。 第二に、新四国借款団の結成・展開をめぐる「日本外交」の多様性を析出した。特に取り上げたのが、日本の政党や官僚である。そこで、「日本外交」に影響を与えていた政友会の代議士や大蔵官僚が新四国借款団、ひいては第一次世界大戦後のアメリカ主導の東アジア国際秩序をどのように捉えていたのかを分析した。従来、ともすれば新四国借款団への参加に積極的な、すなわち対米協調的な人物や勢力に注目されてきた。これに大使、本研究では、そうした研究を踏まえつつも、どちらかと言えばそれらに批判的な主体を取り上げ、彼らの政策構想、国際秩序観などを明らかにした。 以上の実績をもとに、本年度は海外で研究報告を行い、研究成果を論文としてまとめることができた。
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Research Products
(7 results)