Research and inflection as historical materials of the esoteric Buddhism sacred text

2018 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15K16841
• Research Institution: Nara National Museum
• Principal Investigator: 斎木 涼子 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 主任研究員 (90530634)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 聖教 / 古代史 / 仏教史

Outline of Annual Research Achievements

最終年度は、前年度までに調査した聖教史料の分析等を中心に行った。特に、平安時代以降の護国修法として知られる太元帥法について、まとまった史料を把握することが出来たため、その史料整理を進めた。なかでも、宮内庁書陵部所蔵「太元秘記」については、先行研究では誤った紹介、また別写本が前欠史料として紹介されていたため、所蔵先の確認や完本であることが確認できたことは、大きな成果である。今後考察や研究を進める上で重要な史料となるであろう。
研究期間全体においては、従来、翻刻・写真紹介等がなされていなかった醍醐寺・称名寺等の寺院聖教、また国立公文書館・宮内庁書陵部所蔵の聖教史料について、目録等をもとにした閲覧調査が叶ったことで、研究を大きく進めることが可能となった。特に、仁寿殿観音供等の宮中修法については、新たな史料を確認することが出来た。奈良国立博物館所蔵の聖教の調査においては、修法図の制作方法について、新たな試験をえることが出来た。
また、こうした研究から派生する形で、論文「東大寺僧の伊勢神宮参詣―その歴史的背景―」（2016）など神仏習合に関する研究や、宮中祭祀に関する研究も展開することが出来た。
聖教研究は、所蔵者ごとの史料の把握が近年進んできたばかりということもあり、未着手の領域が多い。目録等を通じた内容公開、把握が進められるなかで、今後もさらなる発展の可能性があると考える。本研究で得られた成果をもとに、次の研究課題を設定し進めていきたい。