2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K16848
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| Research Institution | Seikei University |
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Principal Investigator |
佐々木 紳 成蹊大学, 文学部, 助教 (50587938)
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2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | オスマン帝国 / トルコ / 福祉 / 慈善 / 共助 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、19世紀後半のオスマン帝国で生じた災害や戦乱などの危機に際して、民間主導のもとに展開された「共助」の論理と実践を、同時代史料に即して明らかにする試みである。とくに、当時のオスマン帝国で発行されていた新聞・雑誌が展開した募金活動に注目し、「共助」をめぐる言説のせめぎ合いの場となり、かつ、「共助」の実践の担い手ともなった新聞史料の特異な位置に留意することで、史料論の観点からも特色ある議論を展開できると考える。
当該年度の国内における研究活動として、1）オスマン帝国史をはじめとする関連諸分野の福祉・慈善に関する先行研究を精査すること、2）ウェブサイト上で公開されているオスマン・トルコ語（アラビア文字表記のトルコ語）史料を収集し、分析すること、以上の二点を計画した。事例として、1860年代半ばにオスマン帝国の首都イスタンブルで発生した大火災、ならびに、1870年代前半にアナトリアで生じた旱魃と飢饉を取り上げることにした。このうち、イスタンブルの大火災については、本研究に直接的にかかわる研究動向整理を交えた論文を年度前半に発表し、本研究の方向性と事例研究の成果とを学界に向けて広く発信することができた。また、オスマン・トルコ語新聞の精査・精読を通して、アナトリア飢饉についての関連記事を整理することができた。
当該年度の国外における研究活動として、トルコ共和国における在外研究を予定していたが、当地の治安事情および研究者の人事異動等の事情が重なり、断念せざるをえない状況になった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国外における研究活動計画のうち、トルコ共和国における在外研究について、当該年度における当地の治安情勢、および年度後半における研究者の人事異動準備等の事情により、実施することができなかった。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降は、情勢を見きわめながらトルコ共和国での在外研究をおこない、オスマン・トルコ語の新聞・雑誌等の一次史料の収集と分析を進める。また、研究成果を邦文・英文で公表する準備を進める。とくに、27年度に分析を進めたアナトリア飢饉についての成果の公表を優先する。
なお、本研究を遂行するなかで、福祉や慈善に大きく関連する「社会正義」の問題に関連する研究動向を把握する必要に迫られており、28年度以降はこの分野に関する史料・研究文献の収集・分析にも留意することとする。
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| Causes of Carryover |
当該年度の治安情勢および研究者の人事異動にともなう諸事情により、トルコ共和国での在外研究を見合わせたため、旅費の一部を使用することができなかった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
在外研究の日数を増やすなどして旅費として利用することを予定しているが、前年度に引き続き現地の情勢は流動的である。当該年度は、27年度に邦文で発表した論文をもとに英文論文を作成するための費用に充当することも検討している。
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