2015 Fiscal Year Research-status Report
都市ローマ及び教皇領支配の観点に基づく中世教皇庁研究
Project/Area Number |
15K16856
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤崎 衛 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (50503869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教皇庁 / 教皇領 / ローマ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる平成27年度は、近現代に至るまでの長期的視野のもとに古代末期から中世後期に至るまでの教皇権の推移をたどり、西欧中世の政治や文化の磁場・源泉の一つとなった教皇庁の歴史的特殊性を地理的・空間的・物理的基盤である都市ローマの教皇領の社会的状況や統治のあり方との関わりという観点から考察した。また、第四ラテラノ公会議に関する国際研究集会に出席し、中世中期の教皇権と都市ローマを扱ったセッションでの報告やディスカッションなどを通じて本研究課題に関わる知見を得ることができた。さらに、女教皇伝説に関する書籍の翻訳作業の過程において、中世初期から中世末期にいたるまで、教皇や教皇庁の動向と都市ローマの貴族層および民衆の存在は密接不可分の関係にあったことを確認することができた。以上の活動から、中世教皇権の権力基盤として都市ローマや教皇領の統治に着目することの必要性と重要性は明白となった。これらの土地と社会は、教皇を支える無数の人材や物資の供給地として、ときに権力闘争をもたらす地盤として機能したのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度として関連資料の収集や研究動向の把握などを、当初予定した計画に沿って遂行することができた。教皇領研究に十分な時間を費やすことはできなかったが、当初の研究計画では想定していなかった教皇領内の十分の一税についての基礎的検討に着手できたことは、むしろ期せずして本研究を進展させた。以上の研究状況を踏まえると、本研究は設定した目的の達成に向けておおむね計画通り進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って13世紀ローマの統治体制と教皇領統治の実態についての研究を行う。教皇領統治の研究については、次年度の早い段階で統治スタッフの人員編成の観点で研究を進めるか徴税の観点で研究を進めるかを明確にし、具体的な調査に着手する。
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[Book] 教皇庁と美術2015
Author(s)
加藤 磨珠枝(編)、越 宏一、藤崎 衛 他
Total Pages
422+4 (25-51)
Publisher
竹林舎
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