2017 Fiscal Year Research-status Report
都市ローマ及び教皇領支配の観点に基づく中世教皇庁研究
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15K16856
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤崎 衛 茨城大学, 教育学部, 准教授 (50503869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教皇庁 / 教皇領 / ローマ |
Outline of Annual Research Achievements |
中世の教皇領に関する調査については、先行研究の収集とその検討を行い、とくにダニエル・ウェイリーの古典的な研究が提供するデータを参照しつつ、どの程度の数の教皇領統治のための代官(レクトル)が教皇礼拝堂付司祭(カペッラヌス)経験者であったのかに関する調査に着手した。その結果、13世紀を通じて、両職務がしばしば重複していることが確認できた。さらに今年度は、イタリアの研究者によるものを中心とする、教皇領内における農業経済に関連する研究に接することで、これまでにない研究視角と知見を得ることができた。 中世の都市ローマに関しても先行研究の収集とその検討を継続した。特に、政治の変転に伴って錯綜した様相を呈することになる、13世紀後半の都市ローマを巡る権力関係のあり方とその変化の検討に多くの時間を充て、それを整理することができた。 以上の成果の一部は、専門論文ではないとしても、稀有な宗教的権威者として西洋中世世界をいろどった教皇権に関する概説的な文章に反映することができた。また本研究課題に関して、国内外の専門研究者との協力関係も構築・維持することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中世教皇研究の重鎮であるスイスのローザンヌ大学名誉教授Agostino Paravicini Baglianiやその他関連する研究を推進している海外の研究者たちとコンタクトを取り、研究の示唆を得ることができたことは本研究にとって意義深い。ここ数年に海外で発表された研究文献の収集とその検討が順調に進んだ。その検討の成果は専門的な個別論文としてまとめるまでには至っていないが、共著書における概説的な文章に反映させることはできた。
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Strategy for Future Research Activity |
教皇領の代官に関する研究においては、対象とする時期の事例が膨大であることから、特定の人物数名に焦点を当てて経歴や人的ネットワークのケーススタディを制度研究に応用するという研究方法を採る価値があると考えられるため、この手法を採用する。検討する時代としては、比較的史料の豊富な13世紀後半に絞ることとする。
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Research Products
(6 results)