2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study of medieval papal curia from the viewpoint of governance of Rome and the papal state
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15K16856
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤崎 衛 上智大学, 文学部, 准教授 (50503869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教皇庁 / 教皇領 / ローマ |
Outline of Annual Research Achievements |
誰が中世のローマを統治したかという問題は、教皇・都市貴族・元老院政府・外部の王や皇帝などが統治主体として想定されるため、簡単なようで難しい問題である。本研究は、中世のローマ行政や都市貴族、教皇領に関する先行研究を参照しつつ、教皇庁や、教皇や枢機卿など教皇庁支配階層の出身家系をはじめとする有力家系、元老院政府、外部勢力の間での政治的交渉や交流を整理し、比較的資料残存状況に恵まれた13世紀における錯綜した関係を明らかにした。 元老院政府によってボローニャから招聘され、ローマを統治したブランカレオーネ・デリ・アンダロの反貴族的性格の政策(塔の破壊など)を検討した結果、彼は教皇によって破門されながらも、ローマ住民に広く支持されたと推定した。また、元老院政府は財政的に教皇に依存していたこともあり、教皇の意向を無視できない実情も確認することができた。12世紀から13世紀にかけてのローマの元老院政府の特徴は、構成メンバーの数が常に増減するなど伸縮性に富み、教皇や時に反乱を起こすローマ都市住民、外部勢力(ドイツのシュタウフェン家やシチリアのアンジュー家など)、ローマの都市貴族などにうまく対応しながら折々の状況を切り抜けたという、その柔軟性にあったと言える。 以上の研究実績から付随的に浮かび上がった次なる課題として、領主としての教皇による都市ローマおよび教皇領の統治に「規律化された抵抗」という概念を適用できるかどうかということの検証を挙げることができ、これに取り組む価値は大いにあると考えられる。
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Research Products
(3 results)