2015 Fiscal Year Research-status Report
米加互恵関税論と北米経済統合-19世紀後半におけるカナダ通商政策の再検討
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15K16862
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福士 純 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60600947)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カナダ史 / アメリカ史 / イギリス帝国史 / 経済史 / 米加互恵協定 / イギリス帝国連邦運動 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
課題『米加互恵関税論と北米経済統合』の研究実施にあたり、平成27年度は交付申請書に記載した「研究実施計画」に基づき、以下の二点を中心に研究を進めた。 一つ目は、関連する二次文献の収集、読解である。本課題について検討を進める上で、基本的な文献や論文の収集、分析は終えているものの、その分析はいまだ網羅的であるとは言い難い。ゆえに、申請者はまず二次的研究文献の収集に取り組み、先行研究の再検討を行った。その際、米加互恵論について多くの蓄積がなされてはいるものの、特にカナダ経済史研究は米加互恵論をカナダの対米従属化・カナダ経済の低開発化の過程の中のみで考える傾向が強く、本研究課題が進めようとしているイギリス帝国を含めた米加互恵論の検討はほぼ等閑視されており、改めて本研究の意義を確認することができた。またカナダ国立文書館所蔵のマイクロフィルムの多くは、現在デジタル化されインターネットで閲覧可能となっているため、同館所蔵の歴代首相文書の分析も進めた。 二つ目は、米加互恵論に関して積極的な発言を行ったカナダ人政治家、実業家、ジャーナリストの個人文書や経済団体の文書を調査、収集することである。申請者は、2015年8月から半月間カナダ、オンタリオ州オタワとトロントにて史料調査を行った。これらの調査にて、米加互恵を批判した実業家A.E. KempやWilliam Van Horne文書や政治活動家のG.T. Denisonの文書、また互恵支持論者に関してジャーナリストJ.S. Willison文書や自由党の政治家E. BlakeやJ.D. Edgarの文書の収集も行った。収集した個人文書については、まだ全てを網羅的に分析出来てはいないが、来年度以降継続して分析を進めたい。また今年度の研究業績としては、全国学会での研究報告を三回(社会経済史学会、日本カナダ学会、政治経済学・経済史学会)行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の「研究実施計画」で予定していたカナダ国内の5箇所の文書館での調査のうち、3箇所でしか調査ができなかったが、この3箇所に一定の成果を上げることができたため、達成度としては十分であると考える。また今年度の研究業績としては、全国学会での研究報告を三回(社会経済史学会、日本カナダ学会、政治経済学・経済史学会)行った。この報告はそれぞれ視点が異なるものではあるが、当然ながら本研究課題の成果を反映したものである。当該研究報告は、本研究課題の成果をまずは国内学会にて公表し、批判点、論点を整理した上で現在準備中の論文に反映させている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、「研究実施計画」に従って、米加互恵論をめぐるアメリカ合衆国側の見解の調査・分析を行いたい。調査内容としては、ワシントンD.C.のアメリカ議会図書館に所蔵される、19世紀後半から20世紀初頭の時期に対加互恵に高い関心を示した主要政治家の個人文書を収集する。具体的には、1880年代後半の互恵運動高揚期に関しては、J.G.ブレイン、R.ヒット、J.シャーマン(共和党)、T.F.ベイアード、G.クリーブランド(民主党)等の個人文書や、また1910年代の米加互恵協定締結交渉に参加したW.タフトやN.オルドリッチの個人文書の調査を想定している。またニューヨークのスタテン島歴史協会、クリーブランドの西部居留地歴史協会がそれぞれ所蔵するE.ワイマン文書とS.J.リッチー文書は、カナダ領内に投資を行い、鉱山や電信会社を所有する実業家の立場からの対加互恵支持の議論を把握する上で重要であると考えられる。これらのアメリカの企業経営者文書は、実業家の立場からの対加互恵支持の議論を把握する上で重要であると考えられる。これらの史料の収集、分析を通して19世紀後半以降の米加経済関係緊密化の過程を主にアメリカ側の政治家、実業家の観点を中心に把握することを目指す。加えて、二次文献の収集、国内で利用可能な史料、オンライン史料の分析も併せて進めたい。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り、頂いた研究費を使用することができたが、2000円程度の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の2000円程度の研究費の残額については、次年度以降研究の充実のために併せて利用したい。
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Research Products
(3 results)