2018 Fiscal Year Annual Research Report
US-Canadian reciprocity and the North American economic unity : Canadian commercial policies in the late nineteenth century reconsidered
Project/Area Number |
15K16862
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福士 純 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60600947)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カナダ史 / アメリカ史 / イギリス帝国史 / 経済史 / 米加互恵協定 / イギリス帝国連邦運動 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
課題『米加互恵関税論と北米経済統合』の研究実施にあたり、本来、本研究計画は平成29年度で終了する予定ではあったが、申請時に予想していなかった公務が多数重なったため、研究計画を予定に従って進めることが出来ず、研究期間を一年延長して平成30年度までの4年間にて予定の研究計画を実行した。本年度が4年目となる。 平成30年度は主に、申請書の「研究目的」にて挙げていた「作業A カナダ国内視点からのアプローチ」と「作業C 帝国関係からのアプローチ」に関して研究を進めた。具体的には、「作業A」に関して、米加互恵関税論をカナダにて主導した自由党の経済政策志向を自由党の主要閣僚の個人文書や下院議事録、パンフレット等を元に分析した。その際、特に19世紀後半の米加互恵論争における自由党内の中心人物である元財務大臣リチャード・カートライトの米加互恵に関する認識に注目した。分析の結果、彼は互恵によるアメリカとの経済関係緊密化をイギリス帝国からの分離と捉えるのではなく、むしろ対米互恵によってカナダ経済を発展させることで、帝国内に留まりつつイギリスからの投資や移民を今まで以上に誘致可能にし、英米と共に発展していく道を模索していたことを明らかにした。 また「作業C」に関しては、「作業A」にて明らかにしたような経済政策志向を抱くカナダ自由党が、20世紀初頭のイギリス本国での関税改革論争に与えた影響を関連する英加の政治家の個人文書やパンフレット等を用いて分析した。「作業A」にて明らかになったように、カナダ自由党は米加互恵を標榜しつつも、帝国からの分離を望んではいなかったし、帝国他地域との経済関係強化も切望していた。しかし、本国での帝国経済関係強化の運動がカナダの自治権を侵害するような中央集権的な帝国連邦へと転化するのを恐れて、本国での運動には一定の距離を取っていったことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)