2016 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半南アフリカにおける「人道主義」の展開とイギリス帝国
Project/Area Number |
15K16866
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
大澤 広晃 南山大学, 外国語学部, 講師 (90598781)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | イギリス / イギリス帝国 / 南アフリカ / アフリカ / 人道主義 / 帝国主義 / 植民地主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、1)二次文献の読解、2)南アフリカでの史料調査、3)研究成果のまとめを行った。 1)二次文献の読解:研究課題に関連する最近の文献を収集し、その批判的読解を行った。本研究課題については近年多くの研究成果が公刊されているが、既存の研究から新たな知見を学びつつ、自らの研究をユニークなものとするための考察を行った。その結果、本研究のメインテーマである「人道主義」を、ジェンダー、労働、租税という視角から分析してみること、また、アフリカ人の主体性にこれまで以上に注目することで、他の研究と差別化することが可能であるとの認識に至った。今後は、この点を念頭に研究を推進していくつもりである。 2)南アフリカでの史料調査:南アフリカ共和国ヨハネスブルグに所在するウィットウォータースランド大学図書館で史料調査を行った。同地では、南アフリカで「人道主義」を実践していた主要な団体である南アフリカ人種問題研究所とヨーロッパ人およびアフリカ人合同評議会の史料を閲覧・分析した。これらの史料群には、1)で言及した課題に取り組むうえできわめて有益な史資料が数多く含まれていることが分かった。幸いにもデジタルカメラによる史料撮影が許可されていたので、現地で十分に読解する時間が取れなかった史料についてはカメラで撮影し、画像イメージを持ち帰ることができた。 3)研究成果のまとめ:以上の1)、2)の作業を踏まえて、研究成果を2編の論文にまとめた。1編は既に公刊されており、もう1編は2017年6月に刊行されることが決まっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べたとおり、一次史料と二次文献の調査を行い、その成果を論文として公表している。その反面、昨年度は海外実習の引率や組織改編の準備といった校務の負担もあり、史資料の分析に思ったほどの時間をかけることができなかった。本年度は仕事の効率化をはかり、研究に取り組む十分な時間を確保できるよう努めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年度も申請書に記載した通りに研究を推進していきたい。本年度は本研究の最終年度であり、これまでの研究成果の取りまとめを行っていきたい。また、口頭発表を含めた研究成果の中間報告を積極的に行い、他の研究者からのフィードバックを受けたうえで、研究の深化および精緻化に取り組んでいくつもりである。
|
Causes of Carryover |
2016年度は海外実習の引率や組織改編にかかわる会議日程などの都合により、海外史料調査の日程を短縮せざるを得なかった。このことが、次年度使用額が生じた最も大きな理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、物品費と海外史料調査のための旅費に使用する予定である。
|