2016 Fiscal Year Research-status Report
墳墓構造の変遷からみた朝鮮半島青銅器時代社会の複雑化に対する研究
Project/Area Number |
15K16869
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
平郡 達哉 島根大学, 法文学部, 准教授 (60709145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 朝鮮半島 / 青銅器時代 / 社会 / 複雑化 / 墳墓構造 / 出土遺物 / 副葬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は墳墓・墓地構造、副葬遺物といった墓制と関連した考古資料に対する分析を通して、朝鮮半島青銅器時代社会の複雑化過程のモデルを構築・説明することを目的とする。 4年計画の2年目にあたる平成28年度は、当初計画していた江原道地域・忠清道地域での資料調査が2・3月の実施になり、大雪等によって韓国内移動に支障が生じる可能性があったため、大邱広域市・慶尚北道での関連遺跡踏査・青銅器時代墳墓出土遺物の調査および釜山大学校での情報・資料収集に切り替えた。 調査の成果を取り入れた次の2編の論考を執筆した。ひとつは、朝鮮半島青銅器時代における副葬行為の様相、特に磨製石剣と呼ばれる遺物に焦点をあて、その社会的意味に対する論考(「磨製石剣からみた韓半島青銅器時代社会」『青鶴』8、2017年3月)であり、もうひとつは朝鮮半島青銅器時代墓制における副葬品である磨製石剣が、日本列島に伝播していった様相とその意味について述べた論考(「日本列島出土磨製石剣再考」『島根考古学会誌』34集、2017年3月)を発表した。そして、本研究の内容と関連した韓国語論文を翻訳した(李盛周「韓半島青銅器時代の性格に対する諸論議」『社会文化論集』13号、2017年3月)。 以上のように、現地調査を基に持続的な情報・資料収集を行いつつ、近年の発掘調査成果についての新たなデータを補完するとともに、出土遺物(特に磨製石剣)に関する論考を発表しており、研究の進捗状況はおおむね順調である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた江原道地域・忠清道地域での資料調査を大邱広域市・慶尚北道での踏査・出土遺物の調査および釜山での情報収集に切り替えたが、調査地域の順番が前後しても研究遂行上、特に問題はない。 釜山での情報・資料収集を行いつつ、近年の発掘調査成果についての新たなデータを補完し、昨年から始めた青銅器時代墓制資料のデータ集成・入力を続けている。これを基に朝鮮半島青銅器時代墳墓遺跡一覧表と資料調査希望遺物目録を作成しており、研究の進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って調査・研究を進めていく。 これまでの資料集成の結果を基に、青銅器時代墳墓遺跡の踏査と墳墓出土遺物の実見・実測調査を行う。平成29年度は昨年度にできなかった江原道地域および忠清道地域での遺跡踏査・出土遺物の調査を行う。その際に青銅器時代墳墓遺跡に対する発掘調査現場があれば見学を行い、墳墓構造把握のための基礎情報収集にも留意する。 研究期間も折り返しを過ぎたため、今後は墳墓構造に対する具体的な検討も進めていく。
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Research Products
(4 results)