2015 Fiscal Year Research-status Report
生産拡大期における航空機産業のサプライチェーンに関する集積論的研究
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15K16885
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山本 匡毅 山形大学, 人文学部, 准教授 (30455555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 民間航空機 / 地域的分業 / 生産拡大 / 新規参入 / 産業集積 |
Outline of Annual Research Achievements |
<1>研究実績の概要:平成27年度は航空機産業の生産拡大によるサプライチェーンの変化による地域的分業拡大にかかる要因分析のために実態調査、統計分析を進めた。従来は地方の航空機産業は勉強会レベルという認識があったが、実際には大手重工メーカーや装備品メーカーの生産拡大に伴い、地方圏においても複数企業の航空機産業への参入が進み、少しずつながら集積形成を始めていることが明らかになった。 <2>研究計画についての進捗実績:平成27年度は、研究実施計画について以下のような成果をまとめた。(1)国内航空機産業の集積構造に関する定量的分析:当該項目については、平成27年度には特に航空機産業集積の顕著な中部圏の集積構造について定量的に分析を進めた。(2)国内航空機産業の集積構造に関する定性的分析:当該項目については、平成27年度には全国の参入企業からインタビュー調査を行い、地域的分業の拡大を明らかにした。発注企業については山形県においてインタビュー調査を行い、参入企業でも同様の質問をした。【定性的分析のための実態調査・資料収集】山梨県工業技術センターの取り組み、山形県企業振興公社の取り組み、新潟市経済局を中心とした取り組み、福島県を中心とした取り組み、一般社団法人中部航空技術センター、十六銀行の取り組み、神戸市を中心とした取り組み。(3)国内航空機関連企業の経営資料、新聞分析:当該項目については、専門紙や経営資料をもとにして、立地展開の動向を調査した。平成27年度は新型機生産のための立地変化や、民間航空機事業拡大のための工場立地が確認され、地域的分業が進んでいることが示された。 <3>研究発表等:①産業学会第53回全国研究会(2015年6月13日)「中部圏における航空機産業の取引変化とクラスター形成」、②日本地理学会秋季学術大会(2015年9月18日)「日本における航空機産業の立地と集積の再編」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度はおおむね計画通りの研究進捗を行うことができた。特に多くの実態調査を行うことができたことにより、航空機産業の地域的分業の拡大は顕著であり、発注企業の生産拡大と地方圏の受注企業の積極的経営が集積形成に影響を与えていることを明らかにできたことが大きな理由である。このことは研究テーマであるサプライチェーンの変化による集積形成と大きく関連しており、一定の進捗が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成28年度から航空機産業のサプライチェーンの要である認証取得企業の立地、立地履歴の検討を行う。従来は民間航空機産業において、認証取得は必須であると考えられてきた。しかしながら、平成27年度の調査で、航空機産業の地域的拡大において、発注企業によって認証が不要の場合があるという知見を得たので、それを踏まえて研究を進めていくことにする。
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