2015 Fiscal Year Research-status Report
中小規模畜産業産地の革新と存続の可能性に関する研究
Project/Area Number |
15K16888
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
淡野 寧彦 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (10591951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 養豚業 / 飼料用米 / 耕畜連携 / 高知県四万十町 / ブランド化 / イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,全国レベルでは中小規模産地と位置づけられる四国地方の畜産業の存続・革新の可能性について,主に実地調査にもとづきながら検討した。 平成27年度の主な調査対象としては高知県の山間地域における「米豚」を取り上げ,特定地域における飼料用米を活用した畜産の成立可能性と消費者の受容状況について検討した。飼料用米の生産やその活用は,国策的な支援のもとで急拡大しているが,山間地域においても,飼料用米生産は地域農業の存続に一定の効果をもたらすとともに,この飼料用米を地域内の養豚業に活用することが可能であり,地域資源の再評価につながることが期待される。対象地域とした四万十町は,高知県有数の米どころであるものの,米の生産調整のための転作作物として大豆が主に栽培されていた。ところが連作障害の発生によって大豆生産は大打撃を受け,新たな作物を導入する必要が発生した。この際に取り入れられたのが飼料用米生産であり,作付面積や農家数も増加した。この飼料用米を活用して生産された「四万十ポーク 米豚」も消費者から高く評価され,地域の養豚業を支える重要な柱になりつつある。こうした動きは,消費者が期待する食の安全・安心やトレーサビリティの実現,国産品志向にも対応したものといえる。 また,食肉をめぐる様々な立場からの意識やイメージを検討するための一手法として,畜産学の研究者や実務者らが集う関西畜産学会において,「地理学の視点からみたブランド畜産物の特徴と課題-銘柄豚を例に-」と題した講演を行った。畜産業や食料供給のあり方が急速に変化する現在,様々な分野の研究者や実務者などが協力し,学際的な視点から問題の共有や課題解決に取り組むことは今後さらに重要になると思われ,食肉に対する意識やイメージ形成の分析にも寄与しうると考えれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は,所属校における学部改組に伴う新学部(社会共創学部)設置の最終段階にあり,申請者自身も平成28年度より新学部へ配置換えとなることから,授業体系の整備や新たな入試業務などの作業が通常の年度と比較して非常に多く発生した。このため,当初計画していた現地調査のための時間を減らさざるをえなかった。 ただし,研究対象地域における調査協力者の確保や本格的な調査に向けた事前調査は済ませており,平成28年度以降に遅れを取り戻すことは十分に可能であると見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と比較して,平成28年度は所属校における業務が若干軽減されることが予測できるため,予定している複数の研究対象地域全てにおけるフィールドワークを進める。合わせて,研究対象地域のなかの少なくとも1地域(テーマ)に関する学術発表の実施と学術論文の執筆作業を進める。
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Causes of Carryover |
平成27年度は所属機関における学部改組にともなう新学部設置準備のため,当初の予定と比較して調査出張に関わる日数を少なくせざるをえなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は学部改組に関わる業務が時期によっては少なくて済むことが予想されるため,この時期に調査出張を実施する。
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Research Products
(2 results)