2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の食料調達をめぐる国際価値連鎖の変動に関する体系的研究
Project/Area Number |
15K16889
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大呂 興平 大分大学, 経済学部, 准教授 (50370622)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 国際価値連鎖 / 食料貿易 / 農産物 / 輸入 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成27年度は,財務省貿易統計を利用して,各品目の輸入量,輸入額,輸入国等の経年変化を把握するとともに,FAOSTAT,農林水産省作物統計等により当該品目の海外および国内での生産量,消費量等の変化を把握し,研究の基礎資料となる品目ごとの変動についてのデータベースを作成した.また,名鑑や業界団体の所有するリストに基づきながら,商品連鎖に関わる日本側の企業群とその経年変化の把握を試みた.同時に,既に研究者自身による調査実績があったカボチャおよび牛肉部門に関して,国内外で卸売業者や生産者への聞き取り調査を実施し,1990年代からの国際価値連鎖の変容という視点から,輸入量の変動とそれに伴う日本の輸入業者群,海外の輸出業者群や生産者群の変動を整理しなおした.これらの予察的作業を通じて,日本の食料調達をめぐる連鎖とその変化を網羅的に把握するための基礎となる情報が得られたほか,連鎖を変動させる重要な要因として,川下の国内スーパーマーケットの巨大化,中国をはじめとしたアジア諸国における食料需要の量的・質的変化,川上である産地側の資本・技術の蓄積といった要因が示唆された.2年目となる平成28年度は,収集したデータベースの解析を進めるとともに,カボチャや牛肉以外の品目についても連鎖の変動を把握し,国際価値連鎖の変動のパターンに関する類型化を進めていきたい.また,国際価値連鎖アプローチに関する文献講読を進め,分析枠組みの精緻化を図っていきたい.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,おおむね計画通りに研究を遂行できたものの,他の業務との兼ね合いがあり,当初計画していた海外での国際価値連鎖アプローチに関する学術ワークショップに参加できなかった.また,市販の年鑑やリストから商品連鎖に関わる日本の輸入企業を網羅的に把握するのは,精度の面でやや難しかった.これらを補う作業が,次年度以降必要であると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目の作業としては,初年度に収集したデータベースを解析するとともに,部門ごとの連鎖の変化の正確な把握・類型化を進める.初年度に計画どおりに実施できなかった点に関しては,文献講読を中心に海外における方法論の潮流を把握して研究枠組みの精緻化を図るほか,業界団体への聞き取りにも注力し,輸入企業をできる限り網羅的に把握したい.
|
Causes of Carryover |
業者のリストを作成すべく,名鑑や要覧類の購入を物品費として計上していたが,図書館等での閲覧・コピーにより必要な情報を入手でき,これらが不要となったため.また,データ入力を自分で行ったため,今年度は謝金が必要なかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画のとおりに執行するとともに,昨年度からの繰り越し分は,業界団体や輸入業者,生産者等への聞き取り調査の旅費に充当したいと考えている.
|