2018 Fiscal Year Annual Research Report
Transitions of global value chain for the Japan's offshore food sourcing
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15K16889
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大呂 興平 大分大学, 経済学部, 教授 (50370622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 開発輸入 / 国際価値連鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,1980年代後半からの日本企業による「開発輸入」を通じて海外に形成された日本企業主導の農産物の国際価値連鎖の変動について,その全体像を把握するとともに,変動に対する体系的な説明を試みるものである.3年目までの研究期間で,1980年代後半当初の日本企業主導の食料調達様式が解消されて現地企業との相対取引が主体となっていること,その背後には,進出先企業の能力向上,進出先および第3国市場における市場拡大,日本企業の購買力低下といった要因が強く働いていること,それらの動態は品目間で違いがあり上記の諸要因が変動の経路を規定していることなど,研究の主要な成果が得られていた.ただし,①こうした食料調達様式の変動を品目横断的,定量的に示すことができていない点,②個別事例において連鎖の変化を堅牢に実証するための現地調査が不足している点,③成果の取りまとめとその公表が遅れている点に,課題が残されていた.最終年度である4年目は,②については,特定の品目における個別企業の海外進出の変動を裏付ける聞き取り調査や文献資料の収集を継続した.③については,ドイツで行われた国際経済地理学会において成果の一部を学会報告するとともに,論文執筆を進めた.他方で,①については,既存の統計や資料だけではこれを捕捉できず,独自の調査票に基づいた大規模なサーベイを実施するか,多数の人員を動員しての定型的な聞き取り調査を行う必要があると考えられた.予算と時間の制約から,本研究ではこうした確度の高い分析は断念せざるを得ず,今後の課題として取り組む必要がある.
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