2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16891
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
本岡 拓哉 同志社大学, 人文科学研究所, 助教 (60514867)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 河川敷 / 都市 / 居住 / 空間の政治 / 都市社会地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は現代日本の都市における河川敷の利用をめぐる政治的状況の明らかにするための調査を実施し、次年度以降に予定している現地調査の準備作業にあたった。なお、本年度は本課題とともに、科学研究費補助金(若手研究(B))「戦後都市化による河川敷の変容に関する社会・政治地理学的研究」(研究課題番号:24720383)の研究課題を並行して実施した。 本年度の成果については、まず同志社大学人文科学研究所発行『社会科学』第45巻第3号に「戦後,集団移住へ向けた河川敷居住者の連帯:広島・太田川放水路沿いの在日朝鮮人集住地区を事例に」が掲載された。本論文では戦後広島に存在した河川敷居住地を事例に、その内部の社会状況や建物構成を明示し、集団移住を可能とさせた居住者の連帯要因を解明した。なお、行政との交渉過程を取り上げたこの論文の続編は次年度刊行予定の『社会科学』第46巻第1号に掲載予定である。また、2015年5月に開催された人文地理学会政治地理研究部会第15回研究会において、「戦後都市における河川敷居住とその立ち退き問題」を報告した。ここでは広島太田川、熊本市白川、静岡市安倍川を事例に、河川敷居住者の立ち退きをめぐる状況とその後の再定住のあり方にアプローチした。このほか、2015年6月に開催されたカルチュラル・タイフーン2015において、「「復興都市」を問いなおす―「阪神・淡路大震災」後の神戸長田から―」という共同発表も行ない、神戸市新湊川の河川敷利用のあり方を取り上げた。 以上の研究成果は、並行する科研の成果として位置づけられる部分も多いが、現代都市の河川敷利用を知る上での歴史的位置づけを明らかにするものでもあり、本研究課題にとっても重要な研究実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題1年目はおおむね順調に進展している。これまでの研究成果を踏まえながら調査を実施し、現代日本の都市における河川敷の利用をめぐる政治的状況の概要を把握できた。なお、本年度は科学研究費補助金(若手研究(B))「戦後都市化による河川敷の変容に関する社会・政治地理学的研究」(研究課題番号:24720383)を並行して行なったため、当初の想定よりも調査回数は少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、残された研究費を有効に活用し、当初の計画を踏まえながら着実に調査を実施し、随時、論文投稿や関連学会での報告を実施する。なお、所属先が変更となり、予算の関係上、調査計画を再考する必要もあるが、1年目の予算が想定よりも多く残っていることもあり、それを今後の研究費に回すことが可能である。そのため、対象地区の変更や調査回数の増加は予定しない。
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Causes of Carryover |
本年度は科学研究費補助金(若手研究(B))「戦後都市化による河川敷の変容に関する社会・政治地理学的研究」(研究課題番号:24720383)の研究課題を並行して実施したが、一部調査対象が重なる場合は、上記科研を優先的に執行した。そのため、本課題の1年目の旅費が想定より少なくなり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初立てた研究計画を着実にこなすことで、2015年度に生じた未使用額を適切に執行する予定である。また、研究代表者は2016年度から所属先が同志社大学から立正大学に変更となったため、出張の帰着点も京都市から埼玉県熊谷市に変更となり、当初の想定よりも出張旅費が増額となることが考えられる。そのため、2015年度の未使用額をこうした旅費の増額分にも充当する予定である。
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