2016 Fiscal Year Research-status Report
近代期イスタンブル火災保険地図でみる社交空間の立地と形態変容に関する研究
Project/Area Number |
15K16893
|
Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
宍戸 克実 鹿児島県立短期大学, その他部局等, 准教授 (30535133)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 社交空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,トルコ・イスタンブルの現地調査及び地図史料分析が主な研究活動となっている。しかし研究対象地であるトルコ情勢はクーデターやテロのような不安要素が多く,2016年度はイスタンブル調査を断念し,小都市サフランボルの社交空間調査を行なった。サフランボルでは,伝統的な社交空間としてカフェが多数現存しており,今尚重要な都市施設として機能している。特に「ロンジャ」と呼ばれる職人集団が集うカフェが複数残されており,カフェの社会的機能と形態を確認することができた。また,モスク(宗教施設)に併設された多目的空間がカフェとして機能している事例も確認できた。サフランボルの事例は伝統的で純粋な形態で残っており,都市化が進んだイスタンブルと比較する際には重要である。 本研究の主要史料である火災保険地図について,エジプト・カイロにも同様の史料が存在しており,研究計画とは地域が異なるものの,同様の研究が可能と考えている。実際,簡易的な現地調査をカイロで行ったところ,地図史料が貴重であることと,本研究と同種の研究が可能であることがわかった。簡易調査の結果は2016年9月8日JSPSカイロ研究連絡センターにて発表(カイロのカフェ文化)した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2016年のトルコはクーデターやテロの発生により現地での調査が困難であった。本研究では現地調査が欠かせず,調査地域の変更を検討し,エジプト・カイロで同様の手法による研究が可能と考える。まずは史料調査のみでの成果発表を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画では,現地調査をもとに実在する社交空間の抽出が重要であるが,前述の通り現地情勢に若干問題がある。しかし,試験的に地域をカイロに変更して調査を行ったところ一定の成果があり,地域の変更(追加)は伴うが研究継続は可能と判断している。引き続きトルコ・イスタンブルの史料分析を進めながら,同時に,エジプト・カイロの史料分析及び現地調査を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
調査対象地トルコの情勢が不安定であったあために現地調査時期と内容を変更したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査対象地のトルコに加え,同様の研究継続が可能なエジプト・カイロの渡航,及び史料購入等も検討している。現段階では,研究期間の延長も考えている。
|