2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the location of social space and transformation of architectural form by the fire insurance map of Istanbul in the modern period
Project/Area Number |
15K16893
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Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
宍戸 克実 鹿児島県立短期大学, その他部局等【生活科学科(生活科学専攻)】, 准教授 (30535133)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イスタンブル / 社交空間 / カフェ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画で予定していたイスタンブル旧市街3地区,新市街3地区のカフェ(社交空間・施設)の現地調査について,一部変更はあったが概ね完了した。地図史料(火災保険地図)におけるカフェ分布と,現在のカフェ分布が把握できたことで,社交空間や歓楽街の変容過程を明らかにすることが可能となる。伝統的歓楽街や近代化の過程で形成された新たな歓楽街の他,消失した歓楽街,グランドバザール内のカフェ分布,特定の商業エリアのカフェ分布についても調査し地図上にプロットを行なった。これらの情報はカフェなどの社交施設に限らず,街路や広場など公共空間の実態把握や変容についても検討することが可能である。 本研究はイスタンブルを対象としたものであったが,クーデター等の情勢不安が続いたため,カイロ(エジプト)を対象とした調査・研究に軸足を移した経緯がある。カイロの火災保険地図(20世紀初頭)を入手しカフェを抽出・分類するとともに,対象範囲(ダウンタウン地区)の現況調査を実施した。カイロの火災保険地図もイスタンブルと同じ仕様・作成時期のものであるため,当時の分布や建築類型の分析,イスラム地域における近代期の公共空間やカフェ施設の形態把握が可能となった。また,カイロの地図史料として,ナポレオン地図(Description de l’Egypte掲載地図1809-29出版),1930年代調査地図,現代地図(1997-2000)を入手し,旧市街地区の伝統的空間構成の継承・変容過程を明らかにする史料が整った。これら地図史料には歴史的建築物や多様な施設情報が記載されており,今後も引き続き解読・分析に重宝される史料である。カイロ旧市街地区に位置するダルブアフマル地区を集中的に現地調査し,今日のカフェが立地する地点をプロットし,伝統的広場・街路空間とどのような関係性にあるのかを検討した。
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