2015 Fiscal Year Research-status Report
レバノン高齢社会の人類学的研究―親族・国外移民・家事労働者
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15K16895
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| Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
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Principal Investigator |
池田 昭光 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (10725865)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 相互行為 / 2000年代のレバノン / 老年人類学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、（１）博士論文の執筆、（２）書評の執筆、（３）先行研究に関する整理を行った。以下、それぞれについて説明する。
（１）については、これまでにレバノンの地方町で行ってきた調査成果をもとに、「流れと顔：レバノンにおける民族誌的研究」というタイトルで、首都大学東京大学院人文科学研究科に提出した。同論文で扱った資料の中には高齢者も登場し、相互行為や社会関係のありかたなどが扱われている。したがって、同論文により、今後の調査・研究を、理論的に支えるひとつの視点を文章化することができたと言える。
（２）については、Are Knudsen and Michael Kerr (eds.), Lebanon: After the Cedar Revolution.に関する書評を出版した。これにより、近年のレバノン情勢に関する最新の分析結果を摂取し、今後の調査・研究の歴史的文脈化のための足掛かりを得ることができた。
（３）については、「老年人類学」の分野に関するレビュー論文や民族誌の読解と整理を行った。うち、コーエンによるレビュー論文（Lawrence Cohen, Old Age: Cultural and Critical Perspectives. Annual Review of Anthropology 23: 137-58, 1994.）が、重要であることがわかった。この論考により、「高齢者」を主題に据える「老年人類学」が自律的な分野となるうえでは、研究史の確立、社会人類学的な年齢研究の位置づけに関する検討、生権力をはじめとする、生命・医療の政治経済学を論ずる分野との接合が必要であることが明らかとなった。また、アラブ諸国を含め、中東地域を対象とする老年人類学的研究については情報に乏しいことが分かった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、博士論文の執筆に専念したため、当初予定していた海外調査については、これを実施することが適わなかった。
しかし、博士論文は、研究の理論的視座を確立するうえで不可欠なものであり、この成果の上に立って平成28年度以降の調査研究を進めることが充分に可能であると言える。また、先行研究の整理については、老年人類学分野に関しては進め、近年の研究動向を摂取したうえで、さらなる課題について明らかにすることができた。加えて、書評の執筆を通じて、2000年代のレバノン情勢における最新の分析結果を摂取することができた。
よって、全体的にはおおむね順調に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度については、（１）引き続き先行研究や最新の研究成果の摂取につとめるとともに、（２）フィールドワーク調査についても実施する予定である。
（１）については、最新の研究動向に目を配りつつ、できるだけ多数の成果を摂取するとともに、平成27年度の文献研究を通じて課題として明らかになったように、中東地域における老年人類学の諸成果について情報を得、読解・整理を試みる必要が特に必要であると考えられる。
（２）については、当初は平成27年度に行う予定であった予備調査を中心に行い、平成29年度に行う本調査のための拠点及び人脈形成につとめたい。
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| Causes of Carryover |
平成27年度は、博士論文を作成し審査を受けたため、海外調査を行う日程が確保できず、そのため、未使用分が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、レバノンでフィールドワークを行うための旅費、また、国内および海外における文献資料収集のための費用として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)
