2016 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Study on the Implementation and Acceptance Process of the Collectivization Policy in Lao PDR
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15K16901
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
箕曲 在弘 東洋大学, 社会学部, 准教授 (70648659)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 協同組合 / 農業集団化 / コーヒー / ラオス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は8月に、ラオス人民民主共和国チャムパーサック県パークソーン郡のコーヒー生産者17世帯に対し家計調査を実施した。同時にジャイコーヒー農民協同組合幹部に対する聞き取り調査をしたり、取引相手との打ち合わせを参与観察したりした。まず郡内のひとつの行政区画に絞り、全9村の協同組合の継続状況を確認した。そのなかで人数が減少しているA村を家計調査の対象とした。A村では、村長から村の全世帯の情報を入手し、その親族関係を明らかにしていった。一方、ウェルズランキング法を援用し、3名の方に村内の貧富の差に関するデータを取得した。全60世帯のなかから協同組合の現在の組合員と脱退してしまった組合員、加盟したことのない組合員を数世帯ずつ選び、一軒ずつ、世帯構成、土地利用状況、収入と支出など10項目ほどの家計調査を行った。 この結果から見えてきたのは、協同組合加盟に対する障壁である。脱退した組合員や未加盟の組合員は、現組合員よりもコーヒーから得られる収入が低く、かつ所有している土地も少なかった。彼らは拠出するコーヒーの量に関係なく、加工場での労働を均等に強いられるという。一方、現組合員は所有している土地の広さがほぼ同じ程度でなおかつ近しい親族同士であった。 このことから組合員の減少は、村内の既存の所得格差によるところが大きいことが分かった。協同組合へのニーズは高いものの、このような障壁があるため加盟を渋る者が多く、コーヒーの加工体制の変更が望まれる。
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