2016 Fiscal Year Research-status Report
民族誌的アプローチにもとづく難民の定住プロセスの国際比較研究
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15K16904
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
久保 忠行 大妻女子大学, 比較文化学部, 講師 (10723827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 難民 / 移民 / 人の移動 / 支援 / 国家と難民 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
難民の定住プロセスの国際比較をおこなうにあたり、本年度はフィンランドとオーストラリアで現地調査を行った。両地域ともに、タイにあるビルマ難民キャンプから第三国定住制度をとおして再定住した難民(カレンニー難民)を主たる対象として、参与観察と聞き取りにもとづく調査を実施した。 フィンランドでは定住後10年程度が経過しており、オーストラリアでは、4~7年程度が経過していた。現地調査をとおして、①国家における難民の位置づけ、②難民に対する支援状況、③難民の生活実態、④近隣住民との関係性、⑤難民間の国境をこえたつながりなど、定住プロセスを比較するための基礎情報を把握することができた。日本国内の状況については、神戸のベトナム難民2世への聞き取り調査などをおこなった。 フィンランドは、福祉国家として知られているように日本とは特徴が異なる国家とみなされがちだが、民族的な均質性、人口あたりの外国人の割合、急速な高齢化、事実上の労働力としての外国人の位置づけといった点で、日本と類似性があり比較の対象となる。またオーストラリアは、理念としての多文化主義と実情という点で、日本の多文化共生と比較して考察することができる。 今年度の研究成果の一部は、第26回日本移民学会年次大会シンポジウム「移民と難民:いま移民研究に何ができるのか」で報告し、報告原稿を学会誌『移民研究年報』に寄稿した。また次年度には、著書の分担執筆者として寄稿した2本の論文、単文とコラムが刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり2カ国で現地調査を実施し、調査データを収集することができた。次年度には、補足調査をおこない論文としてまとめることができる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるのでフォローアップ調査を実施するとともに、研究成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
フィンランドの調査では、インフォーマントの自宅に宿泊したため宿泊料がかからなかったため、残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現地調査の過程で、確認する必要がある論文と文献があるので、その購入費用に充てる。
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Research Products
(8 results)