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2016 Fiscal Year Research-status Report

世界文化遺産バンチェン遺跡と地域社会:住民の生活史の視点から

Research Project

Project/Area Number 15K16906
Research InstitutionNational Museum of Ethnology

Principal Investigator

中村 真里絵  国立民族学博物館, 研究戦略センター, 外来研究員 (20647424)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords文化遺産 / バンチェン遺跡 / 生活史 / タイ / 遺物
Outline of Annual Research Achievements

今年度は2016年7月25日から8月25日まで、および2017年2月27日から3月19日まで、タイ国ウドンタニー県、およびバンコクにてフィールド調査をおこなった。昨年度に引き続き、バンチェンに居住する村人たちのライフヒストリーの収集につとめた他、過去の新聞記事等、文献収集をおこなった。国内では南山大学人類学博物館所蔵のバンチェンの土器コレクションの調査を実施した。インタビュー調査で得られたデータをまとめると次のようになる。
(1)バンチェン遺跡をめぐる村人の生活史:バンチェンでは、博物館や公式行事などで積極的に語られる定式化された歴史がある一方で、遺跡や遺物にかかわる個人の経験は明かされてこなかった。後者には盗掘や遺物販売、複製品の製造などが含まれる。今年度の調査ではそれらについて詳細な聞き取り調査を実施し、村人の生活史を明らかにした。
(2)遺物と村人たち:今年度はかつて遺物を掘り出し、販売していた村人らへのインタビューが実現した。それにより、当時に遺物がどのような値段で売買されていたのか、また遺物を掘る際の方法や具体的な決まり事などの詳細を明らかにした。さらに、村人が遺物を売らずに個人的に所有し、お守りとして使用した事例など、村人にとっての遺物の意味付けの新たな側面も明らかになった。
(3)アンティークマーケットの存在:1970年代、バンチェンがそのブームに沸いていた時代には、考古遺物だけでなく古布などがタイ国内外からバンチェンへと持ち込まれ、バンチェンは一大アンティークマーケットのセンターとなっていたことが新たにわかった。これについては引き続き調査を実施したいと考えているが、大きなテーマであること、時間的制約もあることから調査の全体的な進捗状況との兼ね合いをみながら調査にあたりたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成27年度に得た調査の基礎データおよび村人との人間関係を基に、平成28年度はより精緻な現地調査を実施することができた。本研究の中心的な課題であるバンチェン遺跡発見以降の村人の生活史の変遷に関するデータはおおむね集まりつつある。
これまでの研究成果は、世界考古学会議(WAC-8、2016年8月)のパブリックアーケオロジーのセッションにて口頭発表をおこなった。また上智大学アジア文化研究所と東南アジア考古学会主催のセミナー「バンチェン遺跡:考古学と人類学からみる地域の歴史と人々」(2017年1月)では、タイ東北部を専門とする考古学者と、考古学と文化人類学のそれぞれの立場からバンチェン遺跡の過去50年を捉え直す主旨のもとで発表をおこなった。ここでは村人たちのライフヒストリーを手がかりにバンチェン遺跡発見による村人の生活変化を考察した。セミナーでは活発な議論がなされ、考古学と人類学の双方から文化遺産と地域住民のあり方を考えるという、隣接分野との協力の有効性と今後の可能性を確認することができた。

Strategy for Future Research Activity

平成29度は最終年度にあたるため、これまで得た調査研究の成果報告をしていくとともに、新たに浮上した疑問等を含めつつ以下について調査をおこないながら、最終成果をまとめたい。今後の研究の推進方策をまとめると次のとおりである。
(1)これまで手が回らなかったアメリカ人の考古学者などバンチェンの村人以外で遺跡と密接にかかわった人々への聞き取り調査を実施する。
(2)遺物を現在も手放さずに所有している村人への聞き取り調査を実施する。
(3)当初の調査計画では浮上していなかった遺物と織物のアンティークマーケットについてさらに聞き取り調査を実施する。
(4)平成28年度に引き続き研究成果の報告につとめる。まずThe 13th International Conference on Thai studies (ICTS13)等での学会発表を予定している他、学術論文として発表していく予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 東北タイ焼物づくりの村から2016

    • Author(s)
      中村真里絵
    • Journal Title

      季刊民族学

      Volume: 40(4) Pages: 91-103

  • [Presentation] 世界遺産バンチェン遺跡に生きる:村人たちのライフヒストリーから2017

    • Author(s)
      中村真里絵
    • Organizer
      アジア研究セミナー(上智大学アジア文化研究所主催、東南アジア考古学会共催)
    • Place of Presentation
      上智大学
    • Year and Date
      2017-01-28
    • Invited
  • [Presentation] Using life-history for Public Archaeology: The case of Ban Chiang in Northeastern Thailand2016

    • Author(s)
      中村真里絵
    • Organizer
      The 8th The World Archaeological Congress (WAC-8 Kyoto)
    • Place of Presentation
      京都、同志社大学
    • Year and Date
      2016-08-29
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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