2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ban Chiang World Heritage Archaeological Site and Local Society: From the Perspective of Villagers' Life History
Project/Area Number |
15K16906
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
中村 真里絵 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (20647424)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バンチェン遺跡 / ライフヒストリー / 遺物 / 世界遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、海外調査としては、7月2日から22日、および2月6日より3月6日まで、タイ・ウドンタニー県バンチェンにおいて遺跡や遺物に関わる人びとの生活史について、インタビュー調査をおこなった。調査で得られたデータは以下のとおりである。 (1)村人が所有する遺物:バンチェンの遺物は、博物館に文化財として保存されている物、骨董品として売られた物の他、村人が所有している物がある。村人らが販売せずに所有し続けてきた遺物に着目して聞き取り調査を実施した結果、村人らはそれらを祭壇に飾ったり、お守りとして常に身に着けたり、祭りなどの特別な機会に身に着けたりしており、村人と各遺物には特別なつながりがあることを明らかにした。 (2)遺跡や遺物をめぐる信仰:バンチェンに居住する宗教的職能者への聞き取り調査を通して、バンチェンには遺跡や遺物をめぐる体系的な信仰は見られないことがわかった。しかし、村人はクンチェンサワットという村の発展に尽力した人物を国立博物館内にある祠に祀り、願掛けや御礼参りの際におとずれ、信奉していることがわかった。 (3)観光化をめぐる問題:バンチェン遺跡は世界遺産の一つであるが、国立博物館のほかに目玉となる観光資源が少ないため、自治体主導で様々なイベントを実施し観光化を図っている。その代表的な例である世界遺産祭りについて運営委員や村びとへ聞き取り調査をした結果、観光化をめぐり村人たちが複雑な状況におかれていることがわかった。 以上の研究成果について、2017年7月に国際タイ学会(ICTS13、チェンマイ)、11月に国際人文社会学会(IC-HUSO、コーンケーン大学)にて学会発表をおこなった。8月にはウドンタニー・ラチャパット大学において招待講演をおこなった他、TBS『世界遺産』のタイ特集(11月放映)でバンチェン遺跡に該当する箇所を監修し、研究成果の公開につとめた。
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Remarks |
テレビ番組の監修:TBSテレビ『世界遺産』「全部見せます!タイの世界遺産」2017年11月26日放送(監修:柿崎一郎、中村真里絵)
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Research Products
(8 results)