2015 Fiscal Year Research-status Report
フランスにおける刑の「公開性」の法社会史的研究―刑罰権の解釈転換を目指して
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15K16914
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
福田 真希 中部大学, 全学共通教育部, 講師 (00711160)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フランス / 刑法史 / 公開処刑 / 日仏比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度から行っていたフランス北部・リール市における公開処刑の場所と権力との関係にかんするフランス語論文を執筆した(計2本、1本はすでにフランスの雑誌に発表済み)ほか、フランス語による報告も行った。公開処刑の場所については、パリ、リヨンにかんしてすでに研究が行われているが、これらの場所から遠く離れたリールについては全く行われておらず、また、アンシャン・レジームから19世紀にかけての長いタイムスパンの中で、都市の構造や社会の転換と処刑の場所との関連、すなわち社会における刑罰権の位置づけの連続性と転換を明らかにしたという点において、フランスの研究者からも高い評価を得た。また、その結果、フランス国立科学研究所関連機関等から、日本における公開処刑の歴史に関する論文執筆等を依頼された。本研究課題は、東西の比較も視野に入れていること、上記の論文等はフランスの読者を想定していることから、フランスとの比較を主眼として現在研究を行っている。 また、7月にはオランダ・ロッテルダムで開催された国際18世紀学会において、フランス革命期のマリー=アントワネット裁判にかんするフランス語報告を行った。こちらにかんしても、現在フランス語論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述のように、本研究の遂行において、フランスの研究者の側から日本における公開処刑の研究を行うよう依頼をされている。本研究課題においては、東西比較は二次的な位置づけにあり、論文等の成果を残すというよりは、フランスを中心とする研究の中で東洋の例も参照することを予定していたが、その逆の、日本を中心にフランスと比較を行うという作業にも着手することができ、東西両方の視点からの比較が可能となっており、以上のことから、当初の計画以上に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まず、上記の日本における公開処刑の歴史にかんする諸企画を完成させるとともに、現在準備中のマリー=アントワネット裁判にかんする論文を発表することを目指す。
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Causes of Carryover |
購入予定の古書が品切れなどで手に入らなかったこと、フランス語報告等のグラマーチェックを友人が無料で行ってくれたことにより、予定よりも使用額が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
古書については、突然売りに出される場合が多いので、入手可能となり次第購入する。
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