2017 Fiscal Year Research-status Report
集合的利益・拡散的利益を巡る法制度設計―消費者・環境・情報法制の架橋
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15K16916
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横田 明美 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (60713469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行政法 / 消費者法 / 環境法 / 情報法 / AI / ロボット法 / 団体訴訟 / リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、消費者法・環境法分野の媒体において、情報法における「利益」、そしてリスクに関する方策についての議論を展開することを重点的に行った。 消費者法分野において個人情報保護が特集されることは珍しいが、本研究の横断的視点が評価され、個人情報保護における利益について、利益主体の「本人」がなし得る方策の観点から示す論攷を執筆した。これは、本研究が主題として掲げる「集合的利益」の観点からすれば日本法の不十分さを露呈する内容となるが、現状でなし得る方策を分析することで、集合的利益論をデータ保護領域にも拡張したドイツ法との比較のための前提作業ともなっている。また、著者が過去の研究において中心的課題としていた義務付け訴訟論の延長線上にも位置づけられており、統合的な視点を示すものとして評価された。 環境法政策学会での共同報告は、順応型リスク論の一部として、AI・ロボット社会の進展に伴うリスクについて論じたものである。報告の過程において、論者が想定しているリスクが何に起因するものであるか、そして利益の性質は多義的なものなのか否かが討議の対象となった。これを踏まえた論攷は環境法研究第7号に掲載され、他の論文が展開した順応型リスク管理論の今後の展開可能性を示すものとして位置づけられた。 これらの検討を踏まえて、年度後半はかねてから計画されていた、消費者安全分野におけるロボット・AI法の問題点を検討した論攷が、『ロボット・AIと法』に収録された。これは本研究課題の中間報告的な内容となっており、ロボット・AIが普及した社会における行政規制のあり方を論じたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の手法的特徴である、環境法・消費者法・情報法の架橋について、全ての領域における公表を終えることができ、一定の知見と反響を得ることができた。これらのフィードバックを統合し、また「集合的利益論」との関係を整理することによって、新たな課題発見へつなげることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成30年度では、三分野の横断によって得られた知見を具体的な法領域に適用することによって更なる研究につなげる視点を得ることを目標としたい。そのため、本研究を締めくくる視点での論文執筆を目標とする。
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Causes of Carryover |
少額(1085円)が余ったが、次年度予算と共に、進展しつつあるドイツデータ保護法制の書籍購入や、昨今出版が続いているAI・ロボット法政策関連の書籍購入に当てることとする。
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Research Products
(5 results)