2019 Fiscal Year Annual Research Report
An analysis of the legal and economical relationship between the taxpayers and the government
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15K16922
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小塚 真啓 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60547082)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パススルー / 連結納税 / 実証分析 / 配当課税 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度においては、規準を用いて租税回避などの濫用を規制する手法の有用性を示した「組織再編税制の濫用規制のゆくえ―濫用防止ルールの是非を中心に」税法学578号55頁(2017年)の分析の応用として、ヤフー事件最高裁判例の検討を改めて行い、その成果に関する論稿を公表してさらなる詳細な検討が必要な項目を明確化した(「法人税法132条の2の不当性要件の意義と予測可能性‐ヤフー事件」税研35巻4号23頁(2019年))。また、ある納税者と別の納税者との間のような当事者間の経済関係に注目するという配当課税やベイシスに関するこれまでの研究成果を応用する形で、アメリカにおいて閉鎖企業に適用のあるデフォルトの課税方式であるパススルーの特徴の整理や、同制度の日本への導入を(仮に)図ろうとするならば解決しなければいけない考慮事項の明確化などを公に行うと同時に(「日本版パススルー課税制度に向けた覚書」租税研究840号95頁(2019年))、令和2年度税制改正で実施された連結納税制度の改革の評価を具体的に実施し、その成果となる論稿の執筆を行った(なお令和2年度5月現在までに「連結納税制度の改革を評価する」税研36巻1号47頁(2020年)として公表)。さらに、これまでの研究の成果によって得られている、納税者と国家との関係を規律する日本の法人所得税における配当課税の制度的な特徴がグループ企業内の出資や分配、あるいはグループ掲載の在り方に影響している可能性を具体的に検証するための実証分析の設計を、客員研究員として在籍していたヴァージニア大学ロースクールのファカルティであるAndrew Hayashi教授のアドバイスを受けつつ具体的に行う同時に、その過程で分析に必要であると明らかになったデータの収集を進めるための準備(データアクセスに不可欠な日本国内の研究者・研究機関との信頼関係の形成など)も行った。
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