2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Rise of the Concept of Constitutional Rights Applying Only to the Government
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15K16926
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
清水 潤 崇城大学, 総合教育センター, 准教授 (40611455)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ憲法 / コモンロー / 憲法上の権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、連載論文「コモン・ロー、憲法、自由」が(1)から(4)まで出版された。(7)で完結する予定であり、掲載は2018年度になるものの、執筆自体はほぼ完了している。この研究は、アメリカ憲法史における「憲法上の権利」と「コモン・ロー上の権利」の関係を検討したものである。それによれば、20世紀に至るまで、アメリカにおいては、憲法上の権利とコモン・ロー上の権利は同一のものとして理解されていた。人身の自由、身体の安全、財産権などの古典的なコモン・ロー上の権利が憲法的保護に値する権利でもあったのである。このような法世界においては、私人間効力という問題は発生しない。そもそも、私人に対する権利と国家に対する権利の内実に差がないからである。20世紀以降、コモン・ローに根拠を持たない数多くの憲法上の権利が発生したことにより、それらの私人に対する効力が初めて問題となったのである。 かかる研究は、アメリカ史の研究として意義があるのみでなく、「私人間効力」という問題自体の歴史的相対性を示唆するものである。「近代憲法においては、憲法上の権利は対国家のものである」という単純化された言説は、少なくともアメリカ憲法史の文脈においては再検討の必要があることが示されたと言える。
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