2017 Fiscal Year Research-status Report
越境テロリズムに対する武力行使における必要性・均衡性原則の研究
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15K16931
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
根本 和幸 東京国際大学, 国際関係学部, 准教授 (40453617)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 武力行使 / 自衛権 / 非国家主体 / 必要性・均衡性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題につき,今年度は,伝統的な「国家対国家」という構図の自衛権概念との比較において、非伝統的な「非国家主体対国家」型の内戦および越境テロリストに対する自衛権行使および警察権に基づく武力行使において、必要性・均衡性原則はどのような法的性質を帯びるのかを明確化を試みた。とりわけ,その際の手法として,従来は個別に論じられてきた「時間的」・「主体的」・「場所的」位相を、必要性・均衡性原則の観点から体系的に論じることで,非国家主体に対する自衛権行使の規制要素の分析を行った。 この過程において,対テロリズムによる武力行使が,シリア内戦およびいわゆるイスラム国の掃討作戦と密接に関連し始めることで,ロシアやアメリカによる軍事活動が争点化されてきた。その後は,シリア国内における化学兵器の使用が発生して,さらなる武力行使に発展した。対テロリズム武力行使に限られず,多様な論点を検討する必要があり,この点は,今年度の研究活動の対象としておきたい。 また,越境テロリズムに関しては国際的武力紛争なのか,非国際的武力紛争なのかという武力紛争論や適用法規論に関するjus in belloからの分析も多数存在しており,その分析も行ってきた。本研究は,jus ad bellumの観点から越境テロリズムに対する武力行使規制要素を明確化することを目的としているため,必ずしも論点は一致しないのであるが,その重複領域を見極める研究はjus ad bellumとjus in belloの関係性を考察する上では不可欠と考えられる。この点についても,分析を行うとともに,今後の検討課題として残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初提出した研究遂行の実施計画に従って研究を行ってきたが,当初予定していた海外における資料収集および研究活動について,先方の受入れの関係で前年度のうちに実施することがかなわなかったためである。この海外での調査は,今年度に行うことで進捗状況の改善を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,非伝統的な「非国家主体対国家」型の内戦および越境テロリストに対する自衛権行使および警察権に基づく武力行使において、必要性・均衡性原則はどのような法的性質を帯びるのかを明確化していくこととする。前年度の基礎研究に加えて,海外での資料収集とリサーチを行うことで,研究内容を発展させる方向で,効率的な研究活動を行うこととしたい。これにより,jus ad bellumとjus in belloの関係性に止まらず、警察権に基づく武力行使も分析枠組みに包摂することで国際法学における大局的テーマの再検討に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
当初提出した研究遂行の実施計画に従って研究を行ってきたが,当初予定していた海外における資料収集および研究活動について,先方の受入れの関係で前年度のうちに実施することがかなわなかった。そのため,次年度使用額が生じた。 これにつき,研究期間を延長することにより,予定していた海外での調査研究を次年度に行うこととした。
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