2017 Fiscal Year Research-status Report
企業結合規制における問題解消措置の事後的検証に係る日・米・欧の横断的研究
Project/Area Number |
15K16935
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田平 恵 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 非常勤講師 (70632686)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 連邦取引委員会 / 問題解消措置 / 事後的検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業結合規制における問題解消措置の事後的検証について、日本の企業結合審査の透明性・予見可能性・法的安定性の向上に資する示唆を欧米の議論や競争当局の取り組みから得ることを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続き、欧米の動向の把握に注力した。第一に、米国における動向把握として、連邦取引委員会による事後的評価に関する報告書の内容および意義を検討した。当該報告書は、1999年に連邦取引委員会が公表した報告書よりもさらに検討対象を拡大したものである。2017年報告書で公表された結果は、1999年報告書の結論と大きく異なるものではなかったが、2017年報告書は、1999年報告書よりも詳細かつ具体的な示唆を与えるものであり、米国の競争当局による現在の執行の傾向を示すものとして有意義なものであった。日本法にも多くの示唆を与えるものと考えられることから、当該報告書の内容および意義を整理し、報告書の内容・位置づけの明確化につとめた。この研究の成果は、公正取引806号に掲載した。第二に、欧米の企業結合事例の動向把握とともに、問題解消措置が課された事例の整理を試みた。この研究の成果を、公正取引803号に掲載した。第三に、最終年度に向けて、日・米・欧の横断的な検討を行うべく、成果物の構成・内容の整理を行った。2018年4月に公正取引委員会競争政策研究センターにおいて研究発表を行い、研究者・実務担当者・実務家との議論を行なった。その場で認識した問題点や課題を次年度の研究の視点・内容の整理に生かしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
連邦取引委員会による報告書の公表が、予定されていた時期よりも大幅に遅れて公表されたこと等の影響を受け、欧米での動向把握に想定以上の時間が必要となった。また、今年度は本研究のために確保できる時間が少なくなったこともあり、進度は遅れていると言わざるをえない。 次年度は、最終年度となるため、遅れを取り戻すよう、注力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、最終年度になるため、これまで以上に検討に注力する。まず、欧米の動向の整理には、ペースを上げて取り組む。そして、日本の企業結合審査の透明性・予見可能性・法的安定性を向上に資する検討を行う。 また、本年度は、関係者へのインタビューを行う機会を得ることが困難であったため、次年度は積極的に関係者へのインタビューや意見交換の機会を得て、文献調査では明らかにならなかった点の明確化、実務との整合性をはかることにつとめたい。
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Causes of Carryover |
物品にかかる費用が少なくなった一方で、研究会参加・報告の機会を得たために旅費必要となり、次年度使用額が生じた。 本研究に関連する意見収集・議論のために、旅費については例年以上の執行が見込まれる。最終年度にもなるため物品についても購入を予定している。物品・旅費・人件費などのバランスをはかり、有意義かつ効率的な予算執行につとめる。
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Research Products
(2 results)