2017 Fiscal Year Annual Research Report
A consideration on concrete method of defining hate speech
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15K16943
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
櫻庭 総 山口大学, 経済学部, 准教授 (80546193)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヘイトスピーチ / 民衆扇動罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、民衆扇動罪の公共の平穏に関する研究を公表することができた。これにより、従来から扇動罪型ヘイトスピーチ規制の問題点として指摘されてきたが、あまり具体的に検討されることのなかった公共の平穏概念およびその限定解釈の在り方について明らかにすることができた。 具体的には、ドイツ刑法130条民衆扇動罪の合憲性が争われたヴンジーデル決定に焦点をあてた。同決定についてはこれまで日本でも多少の紹介・検討はあったものの、すべて憲法学の領域からなされたものであり、刑法学的な視点から同決定を分析したものとしては、今回の研究業績が初めてのものである。それに応じて、同決定の研究方法としても、これまでは憲法学の視点から、基本法5条2項のいう一般的法律をめぐる検討、とりわけ、刑法130条4項は一般的法律とはいえないものの、例外的に合憲性が認められるという「例外論」に関する検討が中心であったが、本研究では、その各論的展開として示された公共の平穏に関する限定解釈の部分を中心に検討を行い、その意味でも新規性が高いといえる。 また、ケルン大学およびその近郊書店にて文献収集を行い、集団侮辱型ヘイトスピーチ規制の研究への道筋をつけることもできた。 さらに、ヘイトスピーチ解消法の制定をうけた、地方自治体職員および教育関係者向けの講演会でも講演する機会を複数回設けることができた。これにより、本研究が単にドイツの比較法を取り扱うものではなく、わが国における最新の法状況と関連するものであることを示すことができた。
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