2016 Fiscal Year Research-status Report
捜査機関による情報の集約と総合的監視に関する比較法的検討
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15K16944
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
内藤 大海 熊本大学, 法学部, 准教授 (00451394)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 犯罪対策 / 情報収集 / データベース / 行政警察 / おとり捜査 |
Outline of Annual Research Achievements |
7月、9月の研究会において、秘密型捜査の1つであるおとり捜査に関するドイツの新判例に関する研究報告を行った。その際、自らの分析結果と見解を示すとともに、質疑で得られた参加者からの意見を論考に反映させた。 本研究課題は、情報収集のあり方、規制方法について、日独比較を通じた比較法的検討を主な研究手法としているため、ドイツ法の分析が重要となる。そのため、年度中2度渡独し、当地の研究者2名にインタビューを実施するとともに、共同研究の依頼を行なった。その結果は、国際共同研究加速基金の採択に結実した。また、2度目の渡独の際には、具体的な共同研究のテーマについて相談を行い、各研究者の役割について検討した。 年度末の3月には、国立国会図書館調査及び立法考査局において講演「連邦刑事局法に関する連邦憲法裁判所2016年4月20日判決の解説」を行った。この連邦憲法裁判所の判例は、行政警察活動領域での情報収集を許容する連邦刑事庁法に対する違憲判決であり、犯罪発生前の事前の諜報活動に対するドイツ判例に一定の方向づけを与えるものであり、本研究を進める上で重要な知見を得ることができた。 また、3月には刑法理論研究会において共同研究「犯罪対策と情報収集―情報データベースの構築と警察介入の早期化―」を主催した。いずれも、テロ対策等において行われる情報収集と事後利用に関する問題について取り上げたものである。後者の共同研究については、すでに論考として取りまとめたものを交換する予定になっており、後者についても分析結果を論考に取りまとめ公表できればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
4月に発生した熊本地震の影響で、7月までは研究室内にあった資料はダンボールに保管せざるおえない状況であった。8月以降、本格的に研究活動を再開し、研究会に積極的に参加するとともに、2度にわたり渡独するなどしたが、28年度前半の研究活動の遅滞が、論考等の執筆および公刊に大きく影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究自体がドイツに示唆を得て行う比較法的検討を研究手法の中心とするため、ドイツ法の分析を中心に検討を進める。なお、本研究を基課題研究とする国際共同研究加速基金の採択を受けたため、そのための準備活動も実施する。具体的には、日本法の状況調査を行い、共同研究者に説明し、共同研究の準備活動とする。なお、この際に得られる知見は、それ自体について研究会で報告するなどし、論考として取りまとめ公刊する。 具体的には、3月に主催した共同研究の内容を論考にする作業から開始する。
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Causes of Carryover |
4月に熊本地震が発生したため、7月まで研究活動が遅滞し、出張等がかなり限られたこと、また、研究室が散乱していたため新たな書籍を購入しにくかったことが影響した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額が約2万円と比較的少額であるため、通常の研究活動を行う過程で速やかに使用されるものと思われる。
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