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2015 Fiscal Year Research-status Report

未遂犯および危険犯における危険概念の基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 15K16945
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

佐藤 拓磨  慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (10439226)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords刑法 / 犯罪論 / 未遂犯 / 危険犯
Outline of Annual Research Achievements

本研究の主たる目的は、未遂犯論における危険概念と危険犯論における危険概念の相違を明らかにするというところにある。
研究代表者は、平成27年度はドイツに研究滞在していたが、滞在中、未遂犯および危険犯に関する立法資料、判例および学術書を渉猟し、ドイツ現行刑法典における未遂規定の成り立ちや、学説における未遂犯論と危険犯論の分化の過程を詳細に跡付けることができた。その結果、研究計画で示した仮説の通り、ドイツでは未遂犯と危険犯とは別物として論じられていることを明確に証明できたと考えている。
それに加え、故意を違法要素と理解する行為無価値論の立場でなくとも、責任要素としての犯意に着目して未遂犯の処罰根拠を説明する見解がドイツでは一時期有力に主張されていたことを明らかにすることにも成功した。これは、違法論における根本対立にかかわらず、未遂犯においては行為者の主観面を無視できないということを示すものであり、前記仮説を補強するものだといえる。
研究代表者は、本研究開始以前に、前記仮説の理論的妥当性の論証を試みた論文を公刊している。平成27年度中の成果は、比較法的側面からこれらの論文による論証を補強するという意義を持つ。
本研究成果は既に5万字強の原稿にまとめられているが、同原稿は平成28年中に公刊予定の単著『未遂犯と実行の着手』の一部に組み込まれることになっている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

「研究実績の概要」で述べたとおり、未遂犯と危険犯の違いを明確にするという本研究の主たる目的の大部分は、平成27年度中の研究により達成しえたといえる。
また、未遂犯論における下位論点ではあるが、予備と未遂の区別に関する「未遂の開始時期」の問題について、1871年に成立したドイツのライヒ刑法典以来の判例をくまなく調査し、日本の実行の着手に関する判例と比較検討をすることができた。このような副次的な成果を得られたことからも、本研究は当初の計画以上に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

本年度の第一目標は、前記の単著を確実に公刊することにある。昨年度は海外に在住していたため、日本国内で公刊された文献資料を十分に参照することができなかった。本年度は本務校の業務に復帰したため、時間的に大きな制約があるが、慎重に邦語文献を調査・検討し、できるだけ早期の脱稿を目指す。
前記作業を終えた後は、刑法典各則上の危険犯の各論的研究に進むことを計画している。この分野に関しては、近時、我が国において、放火罪を中心に、注目すべき研究が現れている。それらの先行研究に学びつつ、本研究では、ドイツの交通犯罪における危険概念を中心に調査・分析をしたいと考えている。ドイツでは、交通犯罪は、具体的危険の判断に関する判例が最も集積している分野であることから、具体的危険犯の危険判断の実際をみるのに最適だと考えるからである。

Causes of Carryover

購入したパーソナル・コンピュータが想定よりも安価であったこと、電子メールによるスキャン・データの送付という方法により日本からドイツへの資料の郵送費が大幅に節約できたことが理由である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

本研究を遂行する上で最も利用するのは図書資料であるため、図書購入費および図書資料のコピー代にあてる計画である。

URL: 

Published: 2017-01-06  

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