2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K16954
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 徹哉 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10511983)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 会社役員の責任 / 会社役員賠償責任保険 / 会社法 / 保険法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、会社法上の役員の地位や責任に係る規律と適合し、当該規律を適切にエンフォースできる、あるべき会社役員賠償責任保険の商品構成を提示することを目的とする。 以上の研究目的の達成に向けて、平成27年度においては、第一に、日本における会社役員賠償責任保険をめぐる既存の議論を調査・検討した。会社役員賠償責任保険については、近年様々な議論が行われている。とりわけ経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」報告書(平成27年7月24日公表)は、実務に与える影響が大きいと考えられることから、その議論・内容の把握に努めた。そのほか、保険会社実務担当者と保険法研究者との共同研究会において、保険会社の実務担当者による会社役員賠償責任保険の現状に関する報告を聞く機会があり、その議論に参加して、保険実務の理解を深めた。 第二に、アメリカ法における会社の役員の地位および責任に関する規律について、調査・検討した。 第一の検討も第二の検討も次年度以降、会社役員賠償責任保険について具体的な検討を進めるための前提的知見を得ようとするものである。いずれもおおむね計画通り遂行できたと考えている。特に、第二の検討について、サーベンス・オクスリー法(2002年)やドッド・フランク法(2010年)による改正内容とその意義に関する議論をフォローでき、アメリカのコーポレート・ガバナンスに関する理解が深まったことは成果の一つである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、平成27年度に、ドイツ法における会社役員の地位・責任に関する規律の調査・検討をすることを予定していたが、着手できなかったこと、他方で、それ以外の事項についてはおおむね計画通り調査を進めることができたことから、「やや遅れている」との評価が妥当と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成27年度の成果を踏まえながら、平成27年度に未着手であったドイツ法における会社役員の地位・責任に関する規律の調査・検討を進めると共に、平成28年度研究計画に従い、アメリカ法における会社役員賠償責任保険に関する規律の調査・検討を進めることとする。
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Causes of Carryover |
ドイツ法の調査に着手できなかったため、ドイツ法関係文献の購入が抑制されたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、平成27年度に未着手となったドイツ法の調査に着手する予定であり、関係文献を購入する必要があると考えられ、平成28年度分の交付額と併せておおむね計画通りの支出を見込んでいる。
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Research Products
(3 results)