2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K16968
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
宮崎 裕介 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (20585096)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オークション市場 / 開示規制 / シグナリング仮説 / ToSTNeT市場 / 公開買付け / 投資情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は多くの業績を公表することができた。なかでも代表的な業績としては、自己株式取得に関する開示規制とその実態について外国法(米国・英国)および日本法の検討を行った論文を査読雑誌に掲載できたことが挙げられる。 上記研究は自己株式取得にかかる開示規制一般について検討を加えたものだが、そのほか上場会社に対象を限定した研究も行った。当該研究においては、上場会社が自己株式取得に関する情報を市場にアナウンスすることの影響を考慮して、種々の取得方法のうちいかなる手段によって自己株式を取得することが投資情報の提供の観点から望ましいか考察した。とりわけ日本は、オークション市場における単純買付け、公開買付け、そしてToSTNeT市場における自社株の買い付けが上場会社に認められているが、開示が求められる情報および時期に違いが出ることの是非について検討を行った。 また、自己株式取得を実施するにあたっての重要な要件である財源規制についても考察した。財源規制は債権者保護が念頭にあることは周知の通りであるが、会社法が定めた「形式的」な財源規制が、キャッシュ・リッチな会社であっても妥当するかについても検討を加えた。当該研究では、財源規制違反となる自己株式取得を行った上場会社の例を挙げて、財源規制の機能的な意義について分析を行った。財源規制は会社法が定めた自己株式取得において必ず遵守すべき要件であるが、機能的には、自己株式取得(あるいは剰余金の配当)を企図している会社のキャッシュ・フローに問題が無いかを推し量る尺度ともなり得ることを試論として提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を超える本数の論文を公表することができ、研究の進捗状況は極めて良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、前年度(平成28年度)にアウトプットに力を注いだこともあり、ファイナンス理論など法律学の周辺分野なども含みインプットに重点を置くつもりである。
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Causes of Carryover |
平成28年度にデスクトップパソコンの購入を予定していたが、図書の購入に充てる予算が思いのほか多額となったため、同年度中のパソコン購入に足りる予算が不足した。そのため、当該予算を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に予定していたパソコンの購入を行う。
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