2017 Fiscal Year Research-status Report
日本本土空襲前後の重層的データを用いた社会資本が政治参加に与える影響の因果分析
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15K16977
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
原田 勝孝 福岡大学, 経済学部, 准教授 (30738810)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会関係資本 / 感度分析 / 因果推論 / 地理情報システム / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は第二次世界大戦末期の日本本土空襲でsocial capital(※以降、社会関係資本と表記)を担うコミュニティの多くが壊滅的な被害を受けたことを用いて、こうした大規模破壊イベントが社会関係資本に与える影響および社会関係資本レベルの外因的な変化を用いて、社会関係資本が投票参加や自発的な社会組織加入に与える影響を因果推論的に実証するものである。 2017年度は研究方針の詳細が固まり、共同研究者の協力も得、研究が飛躍的に進展した年であった。まず、調査方法であるが昨年度は正確な地理情報を得るため、留置法も含めた調査方法の見直しを行ったが、最終的にインターネット調査を行うこととした。この背景としては空襲のデータを町丁目ごとに作成することが可能となり、緯度経度の組み合わせに依存する交絡要因もGeo additive modelを使うことでコントロール可能となり、無作為な被害状況をトリートメントとして用いることが可能になったこと、インターネット調査においても回答者の同意があれば町丁目のデータを収集することが可能である旨を調査会社より得たこと、社会関係資本を測定するためにゲーム理論に基づくアンケートを行う必要があること、回答により報酬が変わる質問にたいする回答への報酬の支払い等の手続きのしやすさなどが挙げられる。 また、終戦直後の航空写真からトリートメント変数を作成し、これを用いて東京大学で行われた国際研究ワークショップ「計量・数理政治学のフロンティア」で研究を発表し、国内外の研究者より高い評価と反響を得た。 さらに課題の副次的な目標として進めていた感度分析については、科研費の援助を得て国内の学会誌に感度分析の類型や感度分析が必要となった背景についてまとめた論文を執筆し、2018年度に掲載できる見込みとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大変不本意であるが遅れている理由は2点ある。1点目は昨年同様トリートメント変数の作成に航空写真の加工という手法を使ったことによる作業の大幅な増加である。特に2017年度の東京大学での発表においての反響の大きさに鑑み、本データセットが他の研究に広く用いられるよう、極力精度の高いデータセットを作成することにした。具体的には航空写真の歪みの少ない方法で、再度トリートメント変数作成のための写真の加工プロセスをやり直している。2点目も昨年同様、代表者の怪我(頚椎ヘルニア)によるものである。これについてはMRIで回復の兆候が見られなかったので2018年度中の手術も含めて抜本的な回復を図ることも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は7~8月にインターネット調査を行う。当初より遅れているのは、昨年の東京都の政治情勢の目まぐるしさから有権者の日常的な政治参加を問うには必ずしもふさわしくなかったために調査を見合わせたことと、必要な変数を精選したり、海外査読誌に投稿する際のdeceptionを避けるための工夫をしたりするために時間がかかったためである。 また、代表者の怪我により、2018年度アメリカ政治学会で自身が発表を行うことが多少困難となったことから共同研究者に発表を交代してもらうこととなった。 本年度中にインターネット調査の結果に基づいた論文を2本程度英文査読誌に投稿する予定である。 その他、昨年度、英文査読誌に提出予定であった別の論文2本については共著者の進行状況の遅れから未だ提出できていない。しかし論文自体は9割方完成しているので最終年度中の提出は可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
先述の事情により、計画に遅れが生じているため、当初行う予定であったサーベイ調査をまだ実施していないことと、写真の加工を再度行うための人件費を温存していることが、次年度使用額が多額であることの主な理由である。残額はサーベイ調査の実施と航空写真に地理情報を埋め込む作業を行うための人件費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)