2018 Fiscal Year Annual Research Report
Causal analysis of the impact of the bombing to Japan on social capital and political participation using multi-level data
Project/Area Number |
15K16977
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
原田 勝孝 福岡大学, 経済学部, 准教授 (30738810)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 因果推論 / 地理情報システム / 政治的暴力 / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は当初、第二次世界大戦の日本本土空襲を用いて、大規模破壊イベントの社会経済政治環境に与える影響の因果推論的な実証と、都道府県や都市、町丁目等の分析データベースの構築、そして因果推論実施のための方法論の開発を目標としていた。このうち、都道府県と都市については既に各方面でデータベースの構築が進んでいること、また、ディスアグリゲートしたデータの方が科学的厳密性の高い分析が行えることから、東京大空襲による被害に着目し、地理情報システムとリモートセンシング技術を最大限に活用しつつ、今年度は特に東京都23区内の町丁目データベースの構築とそれを用いた論文の作成および成果の学会やワークショップでの発表に注力した。
東京都23区内の町丁目データベースの構築については、まず国勢調査の小地域集計を利用した社会経済環境変数の作成、そして東京都犯罪マップからの町丁目別犯罪率データの入手、回答者の町丁目別居住地情報を含むインターネットサーベイによる町丁目別政治的変数の収集を行った。また、機密解除された米軍史料から東京大空襲の空爆地点の標的の座標や、東京都中心部の戦前の火災保険の保険料率決定に用いられたハザードマップといった地理情報を入手し、これらをリモートセンシング技術を用いて空間データ化することで、爆撃やその被害の発生メカニズムを統計学的に統制し分析に用いることができた。
本研究課題は昨年度、ワークショップ、学会、シンポジウムでそれぞれ2回、2回、3回発表する機会を得、うち国際大会は4回、招待講演は2回を数えたが、いずれの場所でも本報告は非常に高い評価を受けた。本研究課題の成果はワーキングペーパーとして、また、インターネット調査の結果はコードブックとして研究代表者の所属機関やホームページで公開している。究極的には本課題を影響力のある国際査読誌へ掲載することを目指している。
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