2016 Fiscal Year Research-status Report
政党指導部による所属議員への政治資金、政府支出、役職の配分と政党の一体性維持
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15K16978
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤村 直史 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20551493)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 議員行動 / 政党の一体性 / 選挙誘因 / 資源配分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の問いは、「政党は、いかに所属議員の再選を支援しつつ党の規律を維持しているのか?」を明らかにすることである。この問いに対して、「政党は、所属議員の政策的立場に応じて、選挙区への政府支出、選挙資金、役職などの資源を配分することで、議員の再選を支援しつつ党の政策へ賛成させている」ことを主張する。この主張を、所属議員の党内での政策位置と資源配分の関係を統計的に検証することで、証明する。
本研究は27 年度から29 年度の3 年間に行い、(1) 先行研究の検討と理論的考察、(2) データの収集と分析、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌への投稿の4 段階に分けられる。平成28年度は(2)と(3)を実施する予定であった。研究は、予定を上回る以上に進捗し、(3)と(4)まで進んだ。まず、(4)については、2本の論文を公刊することができた。特に、 “Re-election Isn’t Everythingでは、議員が再選、昇進、政策という目的をどのように追及するのかを明らかにし、議員の目的追及という本研究の基盤となる知見を固めることができた。本論文は査読を経て掲載にいたった。掲載されたJournal of Legislative Studiesは、議会研究では最高峰のジャーナルであり、掲載されることで国際的に高い評価を得られたと考えられる。また、(3)では、2度の学会報告を行った。そのうち、“Compensation for Policy Loss or Rewards for Party Loyalty?: Intraparty Resource Allocation and Resources of Party Unity”では、政党がいかに党議拘束を確保しているのかを示した。報告したECPRはヨーロッパの最大の学会であり、審査の上報告の機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、本研究は27 年度から29 年度の3 年間に行い、(1) 先行研究の検討と理論的考察、(2) データの収集と分析、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌への投稿の4 段階に分けられる。平成28年度は(2)と(3)を実施する予定であった。研究は、予定を上回る以上に進捗し、(3)と(4)まで進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、3年間を期間をしており、(1) 先行研究の検討と理論的考察、(2) データの収集と分析、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌への投稿の4 段階からなる。2年目の昨年の段階で、(1) (2)のすべてと(3) (4)の一部を遂行した。
本年度は最終年度で、(3) (4)を実行する。(3)については、9月のECPRでの学会報告が受理されため、そこでの報告を予定している。また、すでに完成した草稿があるので、査読誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
前倒し請求の理由は、予想以上に研究が進展していることにより、予定よりも早く研究報告や論文投稿を行っていることによる。本研究は、(1) 先行研究の検討と理論的考察、 (2) データの収集と分析、 (3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌への投稿の4過程からなり、今年度は (2)、(3)を実施する予定であった。しかし、順調に研究が進み、今年度中には、ほぼ(3)までを終わらせ、さらに(4)に入りつつある。そのために、幸いにして、当初本年度の計画になかったドイツでの学会報告や論文の英文査読誌への投稿まで行うこととなった。そのための航空費・滞在費、英文校正が必要となり、申請時と比較して本年度により多くの支出が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究にかかる総額の変更はない。そのうえで、計画自体は順調に進行しており、むしろ当初の計画を前倒しして進めている状態である。そのため、平成29年度で行う予定であった研究にともなう費用を28年度で使用することを申請するものである。本年度に次年度の予算を前倒しで使用したからといって、次年度以降の研究が困難になる可能性はない。
平成29年度は、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌への投稿を行う予定であり、大きな変更点はなく、計画に基づいて実施する。ただし、研究が順調に進展しているため、より完成度を高めることができそうである。British Journal of Political Science、Electoral Studiesなどの海外の学術雑誌や、『年報政治学』などの日本の学会誌に投稿する。
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