2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Sources of Party Unity in Legislative Voting
Project/Area Number |
15K16978
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤村 直史 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20551493)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 議場投票 / 政党組織 / 日本政治 / 総理大臣 / 選挙区訪問 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「政党は、いかに所属議員の再選を支援しつつ党の規律を維持しているのか?」を解明することであった。本研究は3年間にわたって実施され、2017年度は最終年度であった。
当初の計画では、最終年度に学会報告や論文投稿・公表などの成果報告を重点的に行う予定であったが、1, 2年目ともに研究が予定をこえて進捗し、2年目から論文公表の段階に進んだ。2017年度も、成果を報告することができ、まず英文査読誌に論文(Naofumi Fujimura. 2017. “Running Multiple Candidates, Dividing the Vote under the Single Non-Transferable Vote System: Evidence from Japan’s Upper House Elections.” Asian Policy and Politics, 9 (3): 402-426.)を公表できた。本論文は、日本の参議院議員選挙を事例として、政党がどのように個々の議員の当選と政党の議席増大を両立しているのかを問い、政党の集票戦略がそうした能力を規定することを明らかにしている。また、書評論文(藤村 直史. 2017. 「議会・政党組織研究の縦と横への広がり」『レヴァイアサン』60号135-139)では、議会・政党の構造や内部ルールの形成と定着について、批判的検討を行った。また、ヨーロッパの政治学分野で最高峰の学会であるEuropean Consortium for Political Researchにおいても、審査を経て報告をすることができた。国際的にも一定の成果を挙げられた。
研究の知見として、「政党は、内部の資源を戦略的に所属議員に配分することで、彼らの再選可能性を損なうことなく党議に沿った議会での投票を実現させている」ことを明らかにできた。特に従来の研究は、資源配分の方法について対立があるが、本研究は、(1) その方法は政策分野で異なることを示し、(2) これまでの対立する理論の統合を行った。この2点が本研究の政治学における中心的な独自性・貢献である。
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